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2017年11月27日

bogus conferenceの国内開催は観光政策&科技政策としてどうなんだろ

大学で研究者をしていると、超ウサン臭い「学会」への招待メールが頻繁に来ます。

国際学会へ招待なんてすばらしいじゃないすか、と思う人もいるかもしれませんが、現実には「招待」なんかじゃありません。参加費が数万円でボッタクリも多いですし、学会と言っても研究分野は何でもアリで、他の参加者の発表聴いても多分、何のこっちゃか全くわからんやろね、みたいな感じ。海外ではこのような「学会」はbogus conference(インチキ学会)などと揶揄されます。まぁそこまで特定の「学会」を攻撃したら訴訟リスクもあるので、questionable、dubiousみたいな表現を使うことも多いみたいですが。なんでもいいから学会発表して、業績リストを伸ばしたいというニッチ需要もあるのかもしれませんが。

以前はベネズエラやギリシャからのメールが常連で、いまでもたまに来ますが、最近は中国から来るようになりました。この中国からのメール、以前は会場が大連や上海だったのですが、最近は福岡や京都が会場のも増えてるんですよ。

ウサン臭いとはいえ、開催しなかったら完全なる詐欺になるので、たぶん、いちお、会場はおさえているのだとは思いますが・・・福岡や京都のホテルがこういうウサン臭い「学会」に使われるのって、信用として、どうなんでしょうね。まぁ、こういう「学会」に参加するヒトって、大半が「学会」ではなく観光目的(研究費で観光しちゃおうという不届き者)でしょうから、まぁ国の観光政策としてはいいね、なのかもしれません。とはいえ、こういう「学会」の会場として日本が使われちゃうと、日本国内のまっとうな学会でさえ、海外の人たちが「インチキじゃね?」と疑うようになるかもしれませんよね。そういう意味で、科学技術政策としてはヤバいのではないかと。

まぁさすがに主催は日本の業者ではないので、まだまだ安心ではありますが、こうも経済が混沌としてくると、日本でこういう「学会」を商売にする連中が出てくるんじゃないかと、ちょっと心配ではあります。

怖いのが、地域のコンベンションビューローみたいなところが、こういう「学会」に協賛しないかどうか・・・。いま見ている限り大丈夫そうですが、そろそろ協賛しちゃうところが出てくるんじゃないかなと。観光政策としては、悪い話じゃないですし、「学会」のクオリティなんて、観光客を増やすことが目的の人たちには、あまり関心のないことですものね。まぁ、観光政策と科学技術政策の接点ということで、誰か既に動いているのかもしれませんが。


カテゴリ: Public policy,Science/Technology Policy,Travel — Masa @ 10:43 AM