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2017年12月18日

大宮の風俗店火災に思う都市計画と防火

大宮の風俗店で火災があり、数名の方が亡くなられたそうです。インテリアの構造上、避難が困難で被害が大きくなってしまったのでしょうか。以前も歌舞伎町で似たような事件がありましたね。

で、現場をGoogle Mapで見てみますと・・・

こんな感じのところ。大宮駅の北東側の風俗街ですね。訪問したことはないですが大栄橋をクルマで渡ることも多いのでその脇にそういう街があることは知ってました。氷川神社のお膝元で、赤線地帯としていろいろ長い歴史があるんだろうな、という気がします。

だからこそ、消火活動も大変だったのではないかと思います。明らかに街路は狭くてクネクネしてますし、ストビューで散歩してみると、かなり狭隘な細街路にも風俗店が立地しているようです。普通の大型の消防車は入っていけないでしょうね。単なる風俗店の火災としてだけでなく、大宮の都市計画の問題としてもとらえるべき火災だったのではないかと思います。

最近、「夜の都市計画」とか、まちづくりとか、そういう分野で、こういう猥雑な感じの街並みがポジティブに評価されがちかと思います。まぁもちろん、この雑然とした街路の構造だからこそ、ソーシャルキャピタルのようなものが豊かになるという、ジェイン・ジェイコブス的な思想もわからなくはないです。かといって、こういう街並みって、火災などの災害に対してはほんと、脆弱なんですよね。直下型地震とか起きたら大変なことになるでしょうね。だからといって、画一的な区画整理・再開発で碁盤の目のような街並みを形成すべき、ル・コルヴュジェの輝く都市マンセーって方向へと振り子を揺り戻すだけでもよくないだろうなと。

ジェイコブズvs.モーゼス(ル・コルヴュジェ)的な二項対立でまちづくり(ジェイコブズ至上主義)を語っている限り、こういう火災はなくならないし、大震災などが起きたときには目も当てられないことになるでしょうね。まぁ端的に言えば、猥雑な感じの街を推すのであれば、その代償として、防災についてソフト・ハードの両面できちんと対策を打っておく必要があるということなのでしょう。自衛消防団のような組織は必須でしょうし、建物も見えないところでの耐震・防火や複数の避難経路の確保など、目一杯の対策を施しておかないと・・・災害の被害者に対して都市計画家がどう責任とるんだ、という問題になるのではないかと思います。


カテゴリ: Urban planning — Masa @ 10:18 AM