交渉と合意 (東京大学公共政策大学院)
S1/S2ターム火曜日 4限
受講許可を出した学生さんたちに対してのみ、ZOOM接続のURLを電子メールでお送りします。UTASにには掲載しませんのでご注意ください。
履修者数を制限しています。抽選で許可された方のみ受講できます。
シラバス(予定;日程・内容等若干変更の可能性あり)
イントロダクション(講義概要の説明) (4/7)
第1部 交渉分析の基礎と応用(交渉学)
第1回 交渉学序論と分析の方法論 (4/14)
交渉の戦略立案と分析(反省)に欠かすことのできない交渉の基礎理論を解説する。具体的には、立場と利害、BATNA、ZOPA等の概念を導入する。
第2回 交渉シミュレーション「桜井さんvs.小池さん」 (4/21)
2者間1イシューの演習を通じ、最初の価格提示(アンカリング)、単一イシュー交渉の課題などについて、体験的に理解する。
第3回 複数イシュー交渉と実践上の課題 (4/28)
パレート最適を目指す相互利益型交渉の理論を解説する。また、古典的技法について概観した上で、その対応策として、交渉の7要素、相互利益型交渉(mutual gains approach)など、より実践的な方法論について解説する。
第4回 交渉シミュレーション「水無月開発」 (5/12)
2者間複数イシューの演習を行い、パレート改善を目指す交渉の適用可能性や
課題について、体験的に理解する。
第2部 公共政策形成過程における交渉と合意形成
第5回 公共政策における交渉と合意形成の理論 (5/19)
政策形成において必要とされる交渉と合意の理念的枠組みについて、日本国内および国際的場面における政策形成の事例等を交えて紹介する。また、民主的な政策形成の実践としてのマルチステークホルダー交渉と、対抗する概念としての熟議民主主義(deliberative democracy)の実践などについて議論する。
第6回 公共政策における交渉と合意形成の実践 (5/26)
公共政策形成に必要となる合意形成(利害調整や紛争解決)を、マルチステークホルダー交渉として設計するためのプロセス設計の方法論としての「コンセンサス・ビルディング」とその適用事例、また科学的専門知識活用の方法論としての「共同事実確認」について紹介するほか、プロセス設計の演習を行う。
第7回 ファシリテーション手法 (6/2)
合意形成の現場で必要とされるファシリテーションの関連技法(主にラベルワーク)について、オンライン・ファシリテーションも念頭に体験的にスキルを身につける。
第8回 交渉シミュレーション「ハーボコ」 (6/9)
港湾整備に関する6者間の交渉シミュレーションを行い、公共政策における交渉の特徴について理解を深める。
第9回 「ハーボコ」のふりかえり、中間テスト (6/16)
ハーボコで各自が得た体験を全員でふりかえり、公共政策形成過程で行われる交渉の特徴を整理する。また文献等をもとに、外交問題、環境政策、まちづくりに関する公共的な交渉の特徴について理解を深める。また、これまでの理解を確認するためにマークシート形式の中間テストを行う。
第10回 交渉シミュレーション(科学に係る交渉) (6/23)
科学的不確実性の高い状況下でファシリテーターが参加する公共政策に関する交渉のシミュレーションを体験し、その課題について多様に立場に基づく視点から、体験的に理解を深める(※ふりかえりレポートなし)
第11回 価値観に基づく公共紛争とその解決 (6/30)
交渉による利害の取引だけでは解決が難しい価値観(value)に基づく公共紛争の存在について理解し、その解決や議論の方法について、実際のケースをもとに学生中心にディスカッションする。熟議(deliberation)の実践についても検討する。
第3部 まとめ (7/7)
最後に、「交渉と合意」で学んだことがらについて全員でふりかえる。
評価:
平常点(出席等)30%、ふりかえりレポート(3回)計30%、 中間テスト15%、最終レポート25%
※出席について:初回を除く3回以上の無断欠席(やむを得ぬ事情による欠席で教官の了承を得た場合はこのカウントに含まない)は単位取得の意思がないものと判断する。