2024年3月17日
先日の横浜での研究会ですが、連日開催ということで、会場近くに宿泊することにしました。翌日の発表資料ができた後、夜風に吹かれてみようと、みなとみらいを散歩してみました。
23時過ぎだったのですが、赤レンガ倉庫のまわりには、ほとんど人がいませんでした。イベントの準備をしている作業員が数名だけ。だーれもいない夜の港をひとりで眺める贅沢な時間となりました。
で、おっさんのセンチメンタルな時間なんてどうでもよくて、こんなものを発見。
路上の急速充電器。最近いろいろ実証が始まりましたね。これも社会実験ということで今月末までの期間限定。路上の急速充電は特段珍しくないのですが、この充電器の性能がなんと・・・
150kW!( ゚Д゚)
たとえば航続距離500kmくらいのリーフは60kWhの電池を積んでいますが、非常に単純な計算をすれば、すっからかんの電池を満充電にするのに24分しかかからない、という代物。実際はリーフを含め、150kWでの充電なんて対応していないクルマがほとんどなので、現在ではほんの一部のクルマでしかこの充電器の最大出力で充電なんてできないと思うのですが、まぁとんでもない高性能な急速充電器なわけです。
最近のクルマはまぁまぁ高出力の急速充電に対応するようになってきている(むしろ世にある大半の急速充電器の出力が追いついてない)ので、新しいEVを買った人は、ここでどのくらいの出力で急速充電できるのか、試してみるといいかもしれませんね(それでクルマが壊れても責任負えませんが…クルマの性能に合わせて出力が制御されて、大電流が流れて壊れるなんてことはないことになっているはずです)。
2023年2月6日
昔、香港に九龍城といって、巨大な建物全体がスラムというところがありましたが、今回、プノンペンでそれに近いかな、というところへ行ってきました。
Borei Keilaという地区なのですが、以前留学生が、僕の授業のなかで、この地区の合意形成の事案について紹介してくれました。
どういう地区かといえば、まぁスラムみたいなところだったそうですが、市当局が地区の一部に中層の集合住宅を建ててそこに移住してもらうという事業を進めようとしました。しかし住民は猛反発。支援のNGOなんかも入って大変だったそうです。しかしすでに揉め事としては終結しているそう。
今回の渡航でその学生に会ったのですが、「博物館とかどっか行きたい所はないか?」というのでBorei Keilaに連れて行ってくれとお願いしました。
で、他の修了生と一緒にBorei Keilaに行ってきました。
外から見ると、ちょっとキツキツに詰めて建てた中層のアパートといった感じ。
しかし建物どうしの間の狭い通路に入ると中はとっても薄暗い。通路の両側に店舗なんだか作業場なんだかが並んでいて、人がいるのですが、なんか陰鬱です。しかも建物の中は照明がないわけじゃないけど、ほとんど真っ暗。
こりゃ引っ越したくなくなるだろうなという感じ。怖くて建物の中に入るなんてできません。
ここは賃貸ではなくて、前のスラムの自宅との等価交換なので、低所得者層ばかりの建物ですが、賃貸や売買が可能なんですね。貸します、という横断幕が出ていました。
スラムを「改善」する事業だったのでしょうが、実際に行ってみると、スラムのままのほうが日の光が少しは入って、空気の循環ももう少しマトモだったのかもなぁと思いました。
結局こうやって縦方向に集約したことで、空地ができて、不動産開発の可能性ができたのでしょうね。
とはいえ、子どもたちが通路や街路でウロチョロと遊んでいるのを見ると、この子たちの将来はどうなるものかなぁと思った次第。
別の修了生に聞いてみたら、ここは犯罪、薬物汚染などの巣窟だそうで、どうにもならん(改善しても結局、他の場所に似たような場所ができる)と言っていました。大人たちはもうどうしようもないかもしれませんが、せめてあの子どもたちが勉強できて、未来に希望を持てるようにする方法はないものか(そんなのあればとっくに誰かやってるのでしょうが)と逡巡させられました。
2023年1月14日
日本ではガスコンロで調理するのがあたりまえですが、海外では必ずしもそうでもありません。自分も米国に住んでいましたが、電熱線の調理器具が置いてあるアパートが多かったです。
考えようによってはガスが使えるというのはけっこうな贅沢なんですよね。電熱線/IHであれば、各世帯に確実に存在する電灯線につなげばいいわけですが、ガス調理器となると、道路下のガス管からの引き込みや屋内にもガスの配管が必要になるわけです。コストを抑えようとすれば電気調理器のほうが合理的といえば合理的。
とはいえ自分は「やっぱりガスが好き」でなわけです。炒め物の類は電熱線のモヤっとした熱ではどうしても火力不足でベチョっとした料理になるんですわ。暖房もエアコンの空気は乾燥がひどいし冬はなかなか暖まらないしで心もとないです。
ですが、米国では実は「ガス」が消えゆく運命なのかもしれません。上記のように、米国ではもともと電熱線での調理が珍しくないというかあたりまえに近い状況でした。なのでガス禁止となっても、無茶な話ではないのでしょう。ニューヨークなどの大都市では気候変動対策を理由に、新築住宅でのガス使用禁止が始まっているそうです。
ニューヨーク市議会で、新築建物での天然ガス使用を禁じる法案が通過
天然ガスは確かに「燃焼」ですので、CO2を排出します。料理すればCO2排出するわけですね。具体的にどの程度の排出になっているのか、いまいちわからないので今度調べてみますが、どうなんでしょうね?
まぁそれはともかく、今度は全米でガスを禁止にする動きも出ているそうです。
米連邦機関、ガスコンロの禁止を検討
連邦の動きのおもしろいところが、気候変動対策ではなく、室内でのガスの燃焼が子供のぜんそくの原因のひとつとなっている、という理由での禁止提案とのこと。気候変動対策となると、ほんとうに自由を制限するだけの意味があるのかどうかと侃々諤々の議論になってしまうのでしょうが、「子どもの健康を守る」と疫学的観点から言われてしまうと、なかなか反論しにくいというのもありますよね。
ガスのほうが好きな自分としては、高価でもメタネーションによるガスを使いたいなぁと思いつつ、社会全体としては維持できない贅沢にも思え、これから日本ではどうなっていくのかな?と思うところです。