エネルギー・環境技術政策
都市における革新的技術導入に関する合意形成
土木学会の「革新的技術導入における合意形成研究小委員会」(2021-2024)に参加して、スマートシティなど革新的技術導入におけるELSIなどについて検討しています。
松浦正浩(2023)「都市・地域における革新的技術導入に関するテクノロジー・アセスメント事例のレビュー」第68回土木計画学研究発表会・講演集
松浦正浩, Trà My Nguyễn, 標葉隆馬(2022)「スマートシティの「データ」に関連するELSIの整理」第66回土木計画学研究発表会・講演集
合意形成過程の研究
技術導入に係る合意形成過程についての事例研究を以前からアドホックに行っています。これまでに事例研究の対象とした主な事例は以下の2つです。
自転車共有化
都市内に自転車を多数配置し、誰もが自由に使えるようにすることで、モビリティを高めようという、世界各地で1970年代から試行されている取り組みです。世界各地の事例を調べて、ノウハウの伝播について調べました。
太陽熱セントラルヒーティングシステム
太陽熱セントラルヒーティングシステム~越谷レイクタウンの一部のマンションには、大型の太陽熱温水器が設置されており、温水・床暖房の熱源として太陽熱が活用されています。多様なアクターによる意思決定過程の調査や、お隣のイオンレイクタウンにおける高性能コジェネの導入事例との比較などを行いました。
バイオ燃料の導入戦略に関するステークホルダー分析
国際的なバイオ燃料の導入戦略と日本国内需要への調達について、ブラジル(さとうきび原料バイオエタノール)とインドネシア(パームおよびジャトロファ原料バイオディーゼル)のステークホルダーを中心とした調査分析を行ってきました。
イシュー・アセスメント
エネルギー・環境技術政策を検討する前提条件として、技術の導入・普及における課題を整理するため、文献調査とステークホルダーに対する聞き取り調査にもとづく、ステークホルダー分析を実施しました。
分析の結果、エネルギー・環境技術の導入・普及に関する意思決定に影響を与える環境要因と、それらに関連する多様なステークホルダーが把握されました。また、エネルギー・環境技術の導入・普及を推進するために、これまで以上に多様なステークホルダーの参画と、多様な要因への着目が必要であることが明らかになりました。
図:エネルギー・環境技術の導入の意思決定に影響を与えうる環境要因の構造
この研究は東京大学公共政策大学院 寄附講座「エネルギー・地球環境の持続性確保と公共政策 (SEPP)」の一環で行いました。
関連業績
- Masahiro Matsuura, Tatsujiro Suzuki, Hideaki Shiroyama "Stakeholder
Assessment for the Introduction of Sustainable Energy and Environmental
Technologies in Japan" IEEE International Symposium on Technology
and Society, 2009.
(注:IEEE Xploreにリンクしています) - Masahiro Matsuura (co-authored with Yuko Hayashi). "Green Building Technologies and End-User Interests: Comparison of housing and retail developments in Japan" International Sustainable Development Research Conference. (Utrecht, Netherlands), 2009.7
- 松浦正浩、城山英明、鈴木達治郎「ステークホルダー分析手法を用いたエネルギー・
環境技術の導入普及の環境要因の構造化」 社会技術研究論文集, 5, pp. 12-23, 2008.
(注:PDFファイルへ直接リンクしています) - 太田 響子、林 裕子、松浦 正浩、城山 英明「環境技術の社会導入に関する政策プロセスにおける分野横断的ネットワークと公共的企業家機能に関する分析 ~埼玉県越谷市レイクタウンにおける住宅の面的CO2排出削減事業を事例として~」 社会技術研究論文集 5, 2008.
関連プロジェクト
- 東京大学公共政策大学院寄附講座「エネルギー・地球環境の持続性確保と公共政策
(SEPP)」