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Column #2: 流行りのwin/winって何だ?


・アメリカではBuzzword

外資系企業の日本法人に就職し、米国で会社研修を受けていた友人に以前会ったときのこと、ふと彼が「Win/Winだ・・・」みたいなことを口にしたので、えらい驚きました。

Win/Winというのは交渉学では重要な観念なのですが、会社研修でそんな話までされてるということは、それだけ米国で交渉学が広まっている証拠なのでしょう。


・Win/Winの意味とは

Win/Winとは、そのまま訳せば「勝ち/勝ち」という意味です。

交渉というと、どうしても片方が勝って、もう片方が負ける、というイメージがあります。

しかし、交渉によって、両者にとって望ましい何かが生まれれば、両者とも勝った、といえるでしょう。

そこで交渉学では、Win/Win solutionという、両者とも勝つ(=満足いく)ような結論を交渉から導き出すことを奨めています

交渉の結果が、Win/Lose(勝ち/負け)となると、負けた方は仕返しに出たりして、長期的には両者とも「負け」になるといわれています。


・たとえ話 −「できる」上司と「ダメな」上司−

たとえば、あなたが今晩デートの約束があり、早く帰りたいとしましょう。

しかし、今日中にどうしても片づけなければならない仕事が夕方になって舞い込んで来ました。

1) Win/Lose Solution (ダメな上司)

あなたは、どうしても早く帰りたいので、部下に仕事を強引に押し付けて帰ってしまいました。部下はあなたの「部下」なのですから。

時間どおりに彼女(or彼氏)に会えましたが、あなたはどうも仕事のことが気にかかります。お相手も、あなたの心ここにあらずの態度に腹を立ててしまい、9時には帰ってしまいました。

次の日、会社に行ってみると、部下は仕事を徹夜で片づけていました。しかし、その内容はとてもずさんで、客の不評を買い、さらにはあなたが一日かけてやりなおすことになりました。

しかも部下はかなり不機嫌で、何かと反抗的な態度をとってきます。あなたもその態度に腹が立ち、ぜんぜん仕事がはかどりません。

しまいに、部下は徹夜したことをあなたの上司に告げ、それを理由に昼に帰ってしまいました。昨日中に終わっているはずの仕事は、まだぜんぜん片付いてません・・・。

2) Win/Win Soluion (できる上司)

あなたはまず、その仕事がどれくらい時間のかかるものか検討しました。どうやら、あなたが部下を指導すれば、あとは部下にがんばって徹夜してもらえばなんとかなりそうです。

彼女(or彼氏)に電話。1時間くらい遅れるかもしれないけど、(相手のことを考え)喫茶店で待ってて、と連絡しました。これで、約束の時間を1時間、引き伸ばせました。

部下に事情(「私用で帰らねばならない」)を告げ、さらに、徹夜になったら、次の日は休んでいいよと優しい言葉をかけました。部下は、「それならば!」と喜んで、仕事にやる気を見せました。どうやら、部下は明日の夜からスキーに行く予定だったようです。

部下に仕事の内容を説明すると、やはり部下の理解できない内容があったので、あなたは部下にその内容を説明しました。これで、部下は「まかせてください!」と仕事にとりかかりはじめました。

すでに当初の約束の時間は過ぎていましたが、30分遅れであなたは愛する彼女(or彼氏)と安心してデートを楽しみました。

次の日、あなたの指示どおりに仕事は終わっており、朝には部下からの引継ぎを受け、顧客に報告。顧客にも素早い対応を感謝されました。部下も昼寝できるから夜のドライブも安心だと、はりきって帰って行きました。

あなたは、満ち足りた気分で、のびのびと仕事に取り組み、充実した1日を過ごすことができましたとさ。

友人が会社研修でWin/Winの話を聞いたみたいだったので、今回は会社でよくありそうな話を題材にしてみました。

Win/Loseの何が問題かといえば、何かが悪循環になっているということです。

そして、上の2つの例の違いを考えると、結局は「仕事のできる人、できない人」の違いになります。

「相手を思いやりながらも、自分の目標をやりとげる」というWin/Win Solutionを考えられる人が、仕事のできる人なんでしょうね。