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Lecture #12: 相互利益型交渉 (Mutual Gains Approach to Negotiation)

いわゆる「ハーバード流交渉術」では、原則立脚型交渉(Principled Negotiation)といって立場と利害の分離や、BATNAに基づく意思決定などの原則を重視しています。ただ、ここでひとつあまり重視されていない点が、「利害の取引」です。

相手が欲しいものと、自分が欲しいものを交換すれば、お互いの満足度が高まる、という話は「パレート改善」の回でお話しましたが、それをどうやって、現実の交渉のなかで実現していくのでしょうか?

その一つの方法論が相互利益型交渉です。英語で言うとMutual Gains Approach to Negotiation、略してMGAなんて言います。これはどちらかといえば「MIT流」とも言えるものです。というのも企業等の教育研修で教える内容についてみてみると、ハーバード流というもののほうはハーバード大関係のNPOや営利コンサルタントの人たちが主に教えているのですが、こちらの相互利益型交渉はMIT関係のNPOが積極的に導入しているからです。かといって、別に水と油で二者択一、というわけではなく、本当は「ハーバード流」と「MIT流」を両方知っておくことが一番いいわけです。共通点も多いです。

で、相互利益型交渉というのですが、原則的には「パレート改善」の回で示したように、お互いが抱いている異なる利害関心の間で条件取引することにより、お互いの利益を高めようということです。いわば最近、日本と中華人民共和国の間で強調される「互恵的関係」のようなものですね。

相互利益型交渉の方法論ですが、準備、価値生産、価値配分、フォローアップの4段階です。価値生産、価値配分については既に説明しました。準備とは、顔を合わせて交渉に入る前に準備するということで、自分や相手の利害やBATNAを知っておくということです。フォローアップは、合意条件を本当に実現させるための監視・再交渉メカニズムのようなもので、現実問題としては、個々の交渉の後処理や継続的な関係改善(精神的な面でのコネクションの強化)といったようなものです。

詳しくは米国Consensus Building Instituteのウェブサイトをご覧ください。
http://www.cbuilding.org/