ホーム » ブログ

アーカイブ

検索


フィード


管理

2016年9月5日

ベトナム(南)の風景

先週のベトナム出張は、CBAsiaの会合(トヨタ財団さまご助成)が目的で、その報告は追ってCBAsiaのウェブサイトなどで行いますが、プログラムにはダムの視察なども含まれていて、主会場の市内のホテルだけでなく、いろんなところに出かけましたので、見かけた風景についてちょっと書いておこうと思います。

1.Nguyen Hue Boulevard (グエン・フエ通り)

IMG_20160830_174245 IMG_20160830_174249 IMG_20160901_165818

今回の会合は、グエンフエ通りという、市の中心部にあるホテルで開催したのですが、この通り、中央が巨大な公園というか、空地になってるんですね。もともとは6車線くらいの大通りだったらしいのですが、なんと車道を塞いで、中央部を歩行者空間に変えたそうです。昨年くらいにオープンしたというのでまだ新しい。僕が散歩したときには、高校生くらいのグループがアカペラで唄っていたり、翌日の建国記念日にさきだつ前夜祭の準備をしていたり、いろんな表現活動の場になっているようです。サイゴン川から風が吹き込んできて、気持ちよい空間なので、夜には若者が繰り出していました。

2.日本による鉄道建設

IMG_20160901_165554 IMG_20160901_165551

グエンフエ通りの北西端ではいま、鉄道駅の建設工事が進められています。というか、ホーチミン市では現在、地下鉄(MRT)建設が進められていて、その工事は日本のODAで進められています。数年後には開通するそうですから、開通したらこの街は、どう変わるのでしょうね(変わらないのかな)?

3.共産党のポスター

IMG_20160831_142145 IMG_20160901_162102 IMG_20160901_161918

やっぱし共産主義の国でして、政府=共産党なわけです。で、ガバナンスの話はとりあえずおいといて、街のあちらこちらに、こういう街宣ポスターが掲げられています。僕は共産圏のポスターのデザインが大好きなんですわ。あの、人民が斜め上目線で指差してるポーズなんて、芸術ですわな。自分が訪れたのがちょうど建国記念日直前で、建国71年を記念するポスターが多かったような気もします。

4.戦争証跡博物館の日本関係展示

IMG_20160901_160611 IMG_20160901_160651 IMG_20160901_160754

ちょっと時間が空いたので、War Remnants Museumに行ってきました。ベトナム戦争での米軍の「悪事」を並べた博物館でございまして、いろいろ惨い写真もたくさん掲示されています。とはいえ日本の空襲で焼け焦げた死体の写真を子供の頃から見ている自分としては、まぁ、基本は、同じだよな、という感想を持った次第。それよりも驚いたのが1階の地味なスペースに「ベトナムと連帯する世界」みたいな展示。東欧諸国のポスターなどが列挙される中、日本のベ平連や共産党の活動資料が展示されていたこと。ベトナム共産党にとって、彼らは日本の「仲間」であったわけですね。ちなみに南軍には韓国やオーストラリアなども加わったので、彼らも敵国扱いなわけですが、ここではなぜか日本が仲間として描かれています。こういう意味で、国内の言論の多様性って、生き残り戦略として重要なんだなーと思った次第です。現在、日本からベトナムに訪れるビジネスマンなり観光客が、たとえネトウヨだったとしても、ここでの印象で「いい」イメージを持っているベトナム人に歓待してもらえているかもしれませんから・・・。

5.イオンモール

IMG_20160831_182900 IMG_20160831_182911

渋滞にハマって移動が遅くなって疲れているところにこんな光景が!一瞬、浦和美園にワープしたんじゃないかと思いましたわい。やっぱAEONはすごいわー。


カテゴリ: Urban planning,Vietnam — Masa @ 4:48 PM

 

2016年6月29日

マンション紛争の多様性

既存市街地におけるマンション建設って、何かとモメゴトの種になりますよね。

川口市、ワンルームマンション条例制定・住民マナー向上へ:日本経済新聞.

こんな記事を見つけました。ワンルームマンションにターゲットを絞った対策のようです。どうやらゴミ出しに関して近隣住民とのトラブルが多いようで、ゴミ出しくらいちゃんとしろよ、って意味合いがあるのでしょうか。確かに川口市って一般ゴミの収集がなんかちぐはぐでうまくいってない印象あり。

しかし「マンション紛争」というと、どちらかといえば、景観とか日照とかで揉めてることが多い気がします。駅から徒歩圏ぎりぎりでちょっと郊外の古めの市街地、築数十年の戸建住宅が立ち並んでいる地域で、工場や倉庫が撤退した空地に、ドカーンと大きなマンションが計画されると、近隣住民が反対だ!と騒ぎ出す、という構図でしょうか。

まぁあの手の紛争は、結局、用途地区の実際の設定が、住民たちの想定と異なるから起きてしまうのでしょうね。ほんと、戸建を所有する人に、用途地区の制度を理解していただく制度を何かつくらんといかんのだろうな、と思う次第です。戸建住宅の売買の際に仲介業者が説明する義務を設けてもいいのかもしれませんね・・・まぁそんな大きな買い物なら買主が自主的に勉強するのが当然だろという見方もあるかもしれませんが。

で、川口の事例はこういうタイプではなく、むしろ「ゴミ出し」や「駐輪」という、建築そのものではなく、利用に伴うトラブルへの対応のようです。

マンション紛争といってもいろんなパターンがあるのですね。ですので、十把一絡げに「マンション紛争」と言ってしまうのもよくないかな、と思った次第であります。人口減少といっても都市内でのこういう問題はなくならないどころか、文化の多様性を包摂するのであれば、なおさら増えていくのかもしれませんね。


カテゴリ: Environmental policy,Tokyo,Urban planning — Masa @ 9:20 AM

 

2016年6月17日

「認知資本主義」読了

twitterで見かけて、何気なくおもしろそうだったので読んでみました、この本。

とてもよい意味で期待を裏切るものでした。

まずはどうでもいいことですが表紙。ネットで見ると黄色に見えますが、これ、金色です。とてもゴージャスw。

IMG_20160615_190530

そんなことはどうでもよくて、中身なのですが、認知資本主義、マルチチュード論(←これはまだ小職完全に理解しきれず)などを参照しながら、「労働」の変容を説いています。僕はまだ古い思想体系に凝り固まっているのかもしれませんが、労働の対価として賃金が支払われるのであって、個人が生存のために手段として労働を提供することを前提にいろいろなモノゴトを考えておりました。しかし、認知資本主義においては、労働と余暇の間に境界線を描くこと困難で、生きることこれ即ち労働(生産)という非物質的労働が基本となってしまうようなのです。

実際、ボクにとって最近とても「不思議」な現象って、これで説明できることが多いような気がするのです。地方やイナカの「まちづくり」のような活動をする人々、より広い意味で「最先端」に見えるような活動をしている人々を遠くから眺めていると、どこまでが彼らの労働で、どこまでがプライベートなのか、その境界線が全く見えないのが、ボクにとって不気味で仕方ないのです。どこで生活費を稼いで家計を維持してるのか、謎なんですよね。もちろん何か手段があるのでしょうが。しかも、優秀と目される人々が、何かを生産しているようには見受けられないのです。失礼ですが、なんか、チャラチャラしてるな、という印象が強いわけです。

でも、確かに認知資本主義の時代においては、需要と供給がマッチしてそこに労働が発生し、生産性向上のための都市集積やイノベーションが発生するという従来のモデルを踏襲している以上、何もブレークスルーは起きない。むしろ、そもそも何が需要か、という人々の認知システムを創造してしまうことのほうに大きな意味があるのでしょう。だからこそ、現在、先駆者のように見える人たちは、従来の「生産」や「労働」という概念の枠では説明できない、新しい価値システムの創造に勤しんでいるのかもしれません。

僕は80~90年代の歌謡曲をいまだに愛好する保守的な人間なので、こういう、社会システムの大きな変革を目の当たりにすると、困惑するし、気持ち悪いなぁ、軽薄だなぁ・・・という気持ちを抱いて、自分の心を落ち着けようとするのかもしれませんが、もしかすると、従来の「労働」概念を捨てないことには通約不可能な、経済社会システムの大きな変革が、この20年程度で進行していくのかなぁ・・・なんて思えてきました。

とりあえず、復習がてら、この本のなかで何度も参照されている以下の本をいま読みはじめたところです。新しい都市(まちづくり)の姿を模索する必要性をひしひしと感じています。


カテゴリ: Public policy,Urban planning — Masa @ 12:56 PM