2025年4月22日
先日福島民友の記事で見かけたコレ:
法規制ではないがゆえのイノベーション:福島県夜の森のピンクの矢羽根
行ってまいりました!

南相馬市(小高)の地域おこし協力隊の佐藤さんが始めた haccoba が、特別列車を企画したものの、予約が少なくて中止になるかもしれない!という悲鳴がTwitterから流れてきたので、ここは一肌脱がねば・・・と予約。本来は浪江行なのですが富岡駅で途中下車してタクシーで夜ノ森へ。
タクシーの運ちゃんに「道路の脇にピンク色に塗ってあるところ」と言ったものの、「何ソレ!?」状態。まだ意外と認知されていないのかしら。ということで有名な桜並木へとお願いしました。


現場はこんな感じです。
交通量がかなり少ないということもあってか、矢羽根の数がとっても少ない(密度が低い)です。

交差点部に通常のピッチで塗られているところを見ると、実質的に、自転車が来るから左右を確認せよ、と進入する自動車に警告する意図が強く感じられます。

なんたる偶然か、矢羽根の上を自転車で通過されている方を見かけました。
この走行指導帯ですが、「ふくしま浜通りサイクルルート」の一環で整備されたそうです。ナショナルサイクルロードということで、長距離を自転車で移動できる環境を整備しよう(※インバウンド対策でもある)という国の施策があるのですが、そのひとつ。

とはいえとても残念だったのが、原発災害のせいで、この地区は2011年~2023年まで居住できなかったため、周囲にほとんど人家がありません。帰還した方々もいらっしゃるようですが、とても寂しいです。また結果として、交通量も大変少ないです。
いずれにせよ、全国各地の自転車走行空間の整備で、こういう度胸のある思い切ったことが、どんどん実行されていくことが、世の中を面白くするうえで大事だよなーと思った次第。『ガイドラインに「青色」と書いてあるから青じゃなきゃダメだろ』という日和見に陥らず、『やってみよう!』と言える現場担当者の登場を今後も期待するところです。
2025年3月26日
自転車の走行空間は「車道」であるわけですが、自転車がより走りやすくするために昨今、さまざまな事業が行われているわけです。
そのなかでも自転車走行指導帯、矢羽根、ナビマークと言われるものは、なかなか面白い存在で、法規制としての拘束力はない路面標示となっています。走行指導帯の上を自動車が走ったとしても違法ではありませんし、逆に走行指導帯を外れて自転車が走ったとしても違法にはなりません。
なお、自転車専用通行帯や自転車道といわれるものはれっきとした規制で、自動車が理由もなく走行したら違法になります。
で、福島からこんなニュースが。

路面標示、ピンクの「矢羽根型」 富岡・夜の森の桜並木道路
走行指導帯の矢羽根表示ってライトブルーであることが多いのですが、福島県の夜の森では、桜並木なのでピンクの矢羽根にしたというニュース。
法規制でしばられてしまうと、こういう創意工夫ができないわけですが、しばりがないがゆえに、こういうイノベーションが可能になるわけですな。
とはいえ県警の上層部が日和見主義だとこういうアイディアも潰されるので、福島県警GJというべきところかもしれません。
2025年3月23日
OECDの”Environmental Performance Reviews: Japan 2025“なる報告書が21日に公表されました。

で、ざっと概要を読んでいて気になった個所がこちら。
Successful pilot initiatives must be scaled up to expand reach and impact. In addition to continued financial and technical support to local authorities, the government could implement awareness campaigns, develop training programmes and establish a regional support network….
実証事業を拡大波及(スケールアップ)させてインパクトをちゃんと持たせなきゃいけませんよ、というメッセージ。
いやほんと、(沖合の)洋上風力の世界を眺めていると、15年前にはすでに実証が行われて実証機が立ち始めていたのに、いまだに国内で竣工している沖合洋上ウインドファームはない(五島があと少しで完成かな・・・)状況なわけです。霞が関ってほんと技術開発というか実証事業が好きで、そこには予算はつけるんだけど、それを社会へと実装して未来を変えることにはコミットしたがらんのですよね。
まぁせいぜい4年くらいのキャリアの人事異動サイクルでは、数年の実証事業なら自分の在職中に手柄にできるけど、社会実装となると10年くらいの覚悟をもって取り掛かる必要があって、自分だけでは責任をとれない(後任に迷惑かけるかもしれない)から、萎縮しちゃうんでしょうかね。
まぁそんな具合で、OECDの報告書でも指摘されてしまっているわけです。この段落には「Regional Environment Offices could play a more active role to improve co‑ordination between national and local governments. 」(環境省の地方環境事務所がもっと積極的に調整役になれるはず)なんてことも書かれていて、実は環境省の中の人が書いているんじゃないかなぁという気にもなります。まぁOECDってキャリアの出向者多いんでしょうね。
いずれにせよ、実証で終わらせずにトランジションにコミットする意気込みこそがいまのキャリア官僚に求められているように思います。