2024年11月13日
宿のバルコニーから人の動きの観察をしていると、自転車のなかでシェアサイクルが占める割合が非常に高いことに気がつきました。
時間帯によって利用率は変わるんでしょうが、朝の通勤時間帯は半分近くが赤いシェアサイクルだったような気がします。
しかし街を歩いていて、ステーションをあまり見かけなかったので、どうしてこんなにみんな使っているのかしら?と不思議になりました。政策的にうまくやっているんでしょうね。
2024年6月9日
こんな記事を見かけました。
埼玉新聞「埼玉の推計人口、5カ月ぶりに増 4月は732万6804人 川口→さいたまへ大移動は続く 人口増の街3位は川越、2位は川口、1位は」
埼玉県庁のウェブサイトは人口統計のコーナーが大変マニアックで、かなり詳細なデータをウェブで公開しています。で、人口統計に基づく上記の記事が掲載されていて、私を含めて「やっぱしいまの川口市はダメだなぁ」なんて感想を誰でも抱くわけです。しかし感想で市政を判断するようでは、研究者として恥さらし。ということで元データを見てみました。
埼玉県推計人口(月報データ)
実は記事で書かれているよりも新しいデータが県から出ているのですが、記事にあわせて4月末発表のデータを取り出して見てみました。
確かに川口市からさいたま市への移動は396名です。でもね・・・さいたま市から川口市への移動も260名いるのですよ。つまり差し引きで136名の移動ってことなんですよね。記事の見出しだと、まるで川口市からさいたま市へエクソダスしているような印象を抱かせますが、その逆の移動もそれなりの数がいて、実はそんなにオオゴトでもなさそうなのです。
まぁ全国紙だって厳しいのに地方紙に至ってはPV稼いでナンボの時代でしょうから、煽ルンです、ってことですな。
で、もうちょっと真面目に分析してみましょう。さいたま市は135万人の政令市、川口市だって人口59万人の中核市ということで、そのなかで100名程度の移動って人口からしたら誤差に近い数字なわけですよ。つまり、人口移動の実数を人口で割った比率で検討しないと、実際の人口移動のインパクトってわからないわけです。ということで、全県の市町村で計算してみました。
率で見てみると、ランキングは以下の通りになります。
1位 東秩父村 -> 滑川町 0.1652%
2位 滑川町 -> 狭山市 0.1554%
3位 小鹿野町 -> 秩父市 0.1315%
4位 滑川町 -> 入間市 0.1103%
5位 和光市 -> 朝霞市 0.1034%
6位 東秩父村 -> 秩父市 0.0826%
6位 東秩父村 -> 東松山市 0.0826%
8位 浦和区 -> さいたま市(内他区) 0.0683%
9位 滑川町 -> 東松山市 0.0601%
10位 越生町 -> 飯能市 0.0574%
川口市->さいたま市の実移動136名を川口市の人口で割ると0.0229%で、県内のランキングとしては56位になります。大したことありませんね。
むしろ上のランキングで出てくる町村が本当の人口問題を抱えていると考えるべきでしょう。
東秩父村と滑川町は周辺のより大きな市への移動が深刻なように見えます。東秩父村->滑川町->狭山市・入間市・東松山市というトコロテンのような移動が見えるのもなかなかシブいデータですね。これは3月中の移動に関する数字なので、もしかするとこのトコロテン感は学生さん(高校・大学)の進学に伴う移動かもしれません。やはりこういう数字は本来、年間トータルで見ないといけないですよね。とはいえ、いずれにせよ埼玉県の人口(減少)問題は、秩父や県北部にあるのだろうなぁという気はします。
また和光市->朝霞市の数字が意外と高くて、実は東武東上線沿線では、埼玉高速鉄道・京浜東北沿線の川口市->さいたま市以上に、郊外戸建住宅への転居が効いているのかもしれません。
そして興味深いのが浦和区からさいたま市内の他区への移動がけっこう大きい点。詳しくみると、中央区や緑区への移動が多いので、これもマンションから戸建て住宅への転居かなという気もします。
ほんとうは年齢階層別の数字があると移動の原因を推定できるのでもっとおもしろいのですが、その数字はさすがに公表されていないようです。
まぁこんな感じで、元データをあたって分析してみると、いろいろオモシロイ事実が見えてきます。見出しに踊らされてはいけませんぜよ。
2024年5月27日
静岡県知事選、元浜松市長の鈴木氏が当選されたようですが、選挙区(市区町村)別で結果をみると、東西で2分していますね。東のほうの自治体だと対抗馬の大村氏のほうが圧倒的に勝っているように見えます。
この結果だけ見ると、東西で結果がハッキリと分断してしまっていて、だいじょうぶなのかなコレ・・・と心配にもなります。
で、首長選は基本的にすべての県民が一人一票で、県全体で最大得票を獲得した候補者が選ばれることになっています。しかし、ドリフ大爆笑ではありませんが、もしも・・・選挙制度が微妙に違ったらどうだったのかな?と雑な試算をしてみました。
想定としては、各市区町村に「代議員」が配置されて、その人数は全県人口に占める各市区町村の人口の割合で定められるとします。この代議員は県知事を最終的に決める選挙の投票権を一人一票持っているとしましょう。知事選はまず、各市区町村単位で行われ、各代議員は、各市区町村内で最大得票を獲得した候補者がその市区町村の代表者であるという判断を自動的に行う(自らの意思は持たない)制度だと仮定しましょう。その代議員が県庁に集結して、最終的に知事を選ぶ投票を行う(この最大得票を獲得した候補者が知事になる)という流れです。
さて今回の選挙で、502名の代議員が静岡県内にいたとして(※500名にしたかったのですが各市区町村の代議員の数を四捨五入で決めた関係で中途半端な数字に(^-^;)、上記の方法で選挙を行ったらどうなったでしょうか?選挙結果と5月の推計人口を使って試算してみました。
なんと鈴木氏は180名の代議員、大村氏は322名の代議員を獲得して、大村氏が圧倒的な勝利となります。
ちなみに市区町村単位で見ると、鈴木氏が勝ったのは10、大村氏が勝ったのは29なんですよね。
小職はどちらの候補がよい、悪いなんてことはまったく考えてないのですが、選挙制度(決め方)って、ちょっと変えただけで、結果が大きく変わるんだよなぁ、と思った次第です。