ホーム » ブログ

アーカイブ

検索


フィード


管理

2024年4月5日

【祝】「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」がトランジション・マネジメントを採用!

昨年夏、トランジションの必要性とその加速についてまとめた「トランジション」という書籍を出版させていただきましたが、当初、思ったほど反響がなく、ショボーン(´・ω・`)としておりましたが、最近になってジワジワとインパクトが出てきました。

で、政府(環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名)が先週、3月29日に「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」なる文書を発表しました。

その末尾になんと、下記の1文が入りました!

トランジションマネジメントの考え方に則り、アーリーアダプター(初期少数採用者)をアーリーマジョリティ(初期多数採用者)へと拡大するための施策を展開しつつ、施策の進捗による効果を見極め、経済活動にもたらす影響も踏まえた上で、必要に応じて適切な規制を含め施策の深化を図る。(p. 24)

自分はそもそも、「ネイチャーポジティブ」についてほとんど知見がなく、審議会にも全く関わっていないのですが、公私含めて小職の複数の知り合いのみなさんが生物多様性研究の関係で本件に関わられているようで、その関係でつながりができたのかもしれません。この文書の最後のとりまとめの頃には、さすがに環境省のご担当者とコネクションができまして、文章についていろいろやりとりさせていただきました。今年1月には環境省主催のシンポジウムでもトランジションについてご紹介させていただきました。

そんなこともあって、ネイチャーポジティブについて少し勉強してみたのですが、まさにこれはトランジションが必要な施策なのですよ。要は、従来(産業革命以降?)の生産システムは生物多様性の減耗を暗黙の前提にしてしまっていたけれども、経済活動を停滞させることなく生物多様性の維持・改善(=ネイチャーポジティブ)を図るためには生産システムの抜本的な入れ替え、つまりトランジションが必要なのですね。

もちろん従来から生物多様性(というか自然)を守ろうということで、山村で活動家みたいなことをする人たちは日本にも世界中にも、たくさんいたとは思いますが、彼らが社会経済活動の「あたりまえ」にはなってないのが現実でしょう。ニッチにとどまってしまっていますし、社会経済活動の縮小を志向している人も多そうです。またいわゆる大企業も、欧州で気候変動と並んで生物多様性についての監査・情報公開を要求されるようになってきたことから、危機感を抱き始めているようで、トランジションへの圧力がかかりつつあるようですが、やはり現在の経済システム(レジーム)の下でこれまでの「あたりまえ」を変えることは容易ではないようです。フロントランナー的社会起業家などは出てきているようですが、やはり「経済合理性」の観点で市場の拡大へとつながりずらい、要はキャズム問題に直面している模様。

そんなこともあり、日本の気候変動対策は相変わらずGXということで、ラジカルなトランジションがあまり前に出てきませんが、ネイチャーポジティブについては「トランジション」の意識が広まりそうな予感がしています。残念ながら日本政府の気候変動対策は欧米諸国に比べて大幅に出遅れているように見えますが、生物多様性・ネイチャーポジティブの分野ではトランジションを一気に加速させて欧米を見下せるくらいの勢いがつくといいなぁ、と期待しています。


カテゴリ: Environmental policy,Transition — Masa @ 6:55 PM

 

2023年1月16日

金沢出張(大野町のまちづくり)

日曜日に金沢へ行ってきました。

 

ひさびさにかがやきに乗車。大宮から2時間なのであっという間です。しかも今回から新幹線eチケットというやつで、紙の切符のない旅。時代は変わりますね。

日本海側はいつものように冬の曇天。

駅で食べたらうめん侍の和風とんこつはなかなか美味でした。次回は大野醤油のとんこつ醤油にせねば(メニューで見落とした)。

なぜなら出張の目的は、徳島大の山中先生と学生さんが実施している、金沢市大野町(大野醤油の産地)でのトランジションの観点からのまちづくり調査への参加。

大野町は大野醤油が有名で、醤油醸造の蔵がたくさん残っています。また古い町家もそれなりに残っていて、それらを保存したまちづくりをどうしましょうか、というのが今回の目的。

町内のいろいろな方々に集まっていただき、学生さんが聞き取り調査した、現状の課題と未来ビジョンをXカーブ上に整理した内容を発表し、フィードバックをいただいていました。

なんとなくみなさんの方向性は共有できていて、各論でのビジョンは見えている(たとえば町家の保全活用)のですが、それを統合したビジョンが存在しないので、それをまずは文章化して、持続可能性の観点から検証して修正するのが、今後の宿題だなと思いました。

人口が気になったので慌ててその場でデータをダウンロードして人口ピラミッドをつくってみたのですが、年齢各層の人口がほとんど偏りなく(団塊と団塊Jrにちょっとだけコブ)、均等に共生している姿が見えました。これはなかなか素晴らしいことで、人口構成での持続可能性の高さを示しています。大きな偏りがあると施設整備で無駄が生じやすいのですが、均等だと同じ施設を長年大事に使い続けることができますし、町内で多様な活動を維持できるので、活気も持続可能な形で維持できます。。

前回2020年の訪問時にはまだ存在しなかったKuru,ru.にも訪問できました。ここの焼き芋はガチで焼き芋好きの人が企画しているのでメチャ旨でした。

で、深夜未明。特にこれといってアヤシイものを夜に食べたつもりはないのですが、以前体験したことがある激しい腹痛で目が覚める。ロキソニン飲んでしばらくしたら痛みが落ち着いてなんとか寝たものの、翌朝、またジワジワとアニキっぽい痛みが…これから痛みが強くなったら帰宅後に胃カメラの先生へGoかな…


カテゴリ: Transition,Travel — Masa @ 8:15 AM

 

2023年1月7日

常に「試す」姿勢がダイジ:「オフィスでマスクしなくてOK」3カ月続けたGMO

「オフィスでマスクしなくてOK」3カ月続けたGMO 社員の反応は?

最近寒いので、屋外でマスクしなくてもいいと言われても、むしろマスクしてるほうが暖かくてよい、って感じですよね。

自分は職業柄、在宅勤務や研究室で個人で過ごす(=マスクを外してる)時間が長いので、作業中にマスクが気になるということはまずないのですが、大部屋のようなオフィスだと、マスク外せないから嫌になってくるかもなぁ、なんて思うところ。

ということで、会話しないならマスクを外していいよという事業所が出てきたようです。この会社の仕組みの秀逸なところは、経営者が上から外していいよと言いつつ、社員はつけたままでも外してもいい(ただし会議とか応接とか会話の場面ではつけるの強制)というところ。これなら社員間のトラブルも少なそうですね。

しかもアンケートをとって効果を確認しているあたり、総務課というか人事課というか、そういうセクションの人であっても科学的な思考をできてるんだろうなと好感が持てます。

またこういう新しい取り組みを、単なる社長の思いつきではなく、計画的に実験するというのがダイジですよね。コロナ絡みだと何かと原理主義(絶対マスク派vs欧米では〜派)に陥りがちのところ、「やってみた」という感じで柔軟な実験としていろいろ試せるというのは、実は難しいことだったりもします。

コロナもまだ怖い存在とはいえ、いろいろな会社がこういう実験を柔軟な思考でいろいろと「やってみる」ことが、未来につながるんでしょうね。

 


カテゴリ: Public policy,Transition — Masa @ 7:26 AM