2025年7月2日
米国市場に依存しない「日本経済」を想像できるかどうか
なんか雲行きが怪しくなってきましたが、まぁいつものことといえば、いつものこと。
こうやってBATNAの脅しをかけて譲歩を迫るのは、交渉のやりかたとしては基本なので、問題はその脅しにどのくらいリアリティがあるか、ってことですな。今回ちょっと嫌なのは、30%という、なんか微妙な数字が出てきていることか。実行しようと思えばできなくもないんだろうな、という感じ。あと、参院選前を狙ってカードを切ってきたのがミエミエなあたりは、セコいというか、ダサいというか、スマートではないというか。
でも一番の問題は、日本側のBATNAがどこにあるかっていうことで、安保の話を含めると非常に厄介なので、とりあえず経済だけに絞って考えてみたときに、自動車にせよ何にせよ、「日本企業に米国以外の市場がどれだけあるのか?」「米国市場を失ったとしてどれくらいのダメージがあるのか?」っていうことを冷静に考えてみる必要があることでしょう。
もし米国市場に大きく依存しているのであれば、それはこれまでの日本企業や政府の政策の見通しが甘かった、と言わざるを得ませんし、さらに安保でキンタマを握られている(いつでも握り潰される状況にある)いるわけですから、もう言いなりになるしかない、というのが交渉分析の結論となってしまいます。絶対に解けないムリゲーですね。このムリゲーを強制的にプレーさせられている赤沢担当大臣が可哀そうに見えてきます。
そうなると、自動的に数年は厳しい状況を甘受せざるを得ないでしょう。逆に、日本が「蜂の一刺し(※若い人にはわからないか・・・)」となるような一手を持っているかどうか・・・。
いずれにせよ、企業にせよ個人にせよ国にせよ、こういう状況で必要なのは、耐え忍んで市場の多様化を進めることで、ある特定の顧客・市場・業態に依存することのリスクをよくよく考えておくべきでしょう。「選択と集中」の真逆ですね。多様化は短期的には「無駄」なコストを発生させますが、交渉分析として考えると、BATNAを強化することになりますし、実際に縁を切るようなことになったとしても、ダメージは小さくなります。
まぁ「人生、自己防衛」だと考えると、日米関係なんて考えている暇があったら、自分自身の仕事や生き方について、同様に「多様化」が図れているかどうかを、もう少し真剣に反省してみたほうがよいかもしれないな・・・とトランプのやり方を見て思った次第。