2009年7月7日
左派から見ればベトナム戦争の張本人として極めて悪名高いRobert McNamaraではあるが、いまBBCを見ていたら彼のtributeをやっていて、彼自身が”Fog of War”という映画で興味深いことを言っていた。キューバ危機に関するコメントである。
I want to say, and this is very important: at the end we lucked out. It was luck that prevented nuclear war. We came that close to nuclear war at the end. Rational individuals: Kennedy was rational; Khrushchev was rational; Castro was rational. Rational individuals came that close to total destruction of their societies. And that danger exists today.
結局、個人の合理的選択*の結果が戦争なのだし、そういう選択へと導く制度、環境、情報が悪いという認識を持って世界を考えなければならない。こういう、ある意味マルクス的思想の重要性を彼が言っていることが興味深い。
(*個人の合理性は限定的(bounded)であって、社会全体としての合理的選択とは別であることは言うまでもない)
2009年7月2日
さて、今年も米国の「おデブ」ランキングが発表されました。正確には州別の肥満度調査ですが。
で、以前も調べたのですが、すぐに思いつくresearch questionは”Are red states fat states?”。ということで、共和党支持者が多い州の肥満度が高いかどうかオバマ支持者の多い州は肥満度が低いかどうか、調べてみました。
肥満度統計はこちらから。オバマ支持の指標は、オバマの得票/(オバマの得票+マケインの得票)の比率を使いました。ごめんね、ラルフ・ネーダーほかのみなさま。投票のデータですが、探すの面倒なのでWikipediaから借用。
さて、相関係数はいくつになったと思いますか?
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2009年6月25日
smart gridの導入について、日本のお偉方はどうも否定的な見解が多いようです。確かに、家庭や事業所が太陽光や風力で自家発電して地域内で融通し、さらに省エネされてしまったら、遠方の原子力発電所から電気を運ぶ高圧送電線を維持している電力業界としては短期的に商売上がったりでしょう。
とはいえ、個人的な予想としては、日本にもいつの間にか導入されてしまうのではないかと思います。というのも、こんなニュースがあったから。
Microsoft wants your Hohm to use the smart grid
スマートグリッドで収集される各家庭の電力消費データを使って省エネアドバイスするサービスをマイクロソフトが始めるらしいです。GoogleもDRSGという組織に加入しており、同じようなことを狙っているようです。
実は日本でも、工場やビル・家庭の電力消費データの分析はBEMS、HEMSといって、けっこう前から行われています。省エネ、コスト削減のために、無駄な電力消費を発見できるツールです。ですので、こういうマイクロソフトの発表を見ても、お偉方は「なーんだ、そんなの以前からやっているわい」と一蹴するでしょう。
しかし、米国のスマートグリッドの賢いところは、そういう技術をコンポーネントにしてしまって、電力の需給管理システムを構築しようとしている点にあります。BEMSやHEMSであれば、個々の世帯や事業所が導入コストを負担しなければならないので、やる気のある人たち以外は導入しないでしょう。しかしスマートグリッドと言ってしまうことで、電力の供給側がそのコスト負担をすることになります(最終的には電力料金か税金に跳ね返るので、消費者が負担していることには変わりありませんが)。
また、マイクロソフトなどが関与することで、プロトコルなどの標準化を米国が先導することになるでしょう。そうすれば、WindowsやMac OSと同じく、米国企業が市場を占拠するでしょう。
こうして、米国でスマートグリッドのシステムが構築され、さらに「自宅の電力消費量などをモニタリングできる機能」が次世代Windowsに同梱されるようになれば、日本でも、いつの間にか同様のインフラを受け入れざるを得ないような状況ができてくるのではないでしょうか。上からは年次改革要望書でたたかれるし、下からは消費者が「なんで日本でこの機能が使えないんだ、遅れてる!」と突き上げられるでしょうし、結局はそういう方向にいくような気がします。
やはり米国はしたたかだな・・・と思います。