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2024年6月9日

川口市からさいたま市への人口移動はどの程度深刻なのか?

こんな記事を見かけました。

埼玉新聞「埼玉の推計人口、5カ月ぶりに増 4月は732万6804人 川口→さいたまへ大移動は続く 人口増の街3位は川越、2位は川口、1位は」

埼玉県庁のウェブサイトは人口統計のコーナーが大変マニアックで、かなり詳細なデータをウェブで公開しています。で、人口統計に基づく上記の記事が掲載されていて、私を含めて「やっぱしいまの川口市はダメだなぁ」なんて感想を誰でも抱くわけです。しかし感想で市政を判断するようでは、研究者として恥さらし。ということで元データを見てみました。

埼玉県推計人口(月報データ)

実は記事で書かれているよりも新しいデータが県から出ているのですが、記事にあわせて4月末発表のデータを取り出して見てみました。

確かに川口市からさいたま市への移動は396名です。でもね・・・さいたま市から川口市への移動も260名いるのですよ。つまり差し引きで136名の移動ってことなんですよね。記事の見出しだと、まるで川口市からさいたま市へエクソダスしているような印象を抱かせますが、その逆の移動もそれなりの数がいて、実はそんなにオオゴトでもなさそうなのです。

まぁ全国紙だって厳しいのに地方紙に至ってはPV稼いでナンボの時代でしょうから、煽ルンです、ってことですな。

で、もうちょっと真面目に分析してみましょう。さいたま市は135万人の政令市、川口市だって人口59万人の中核市ということで、そのなかで100名程度の移動って人口からしたら誤差に近い数字なわけですよ。つまり、人口移動の実数を人口で割った比率で検討しないと、実際の人口移動のインパクトってわからないわけです。ということで、全県の市町村で計算してみました。

率で見てみると、ランキングは以下の通りになります。
1位 東秩父村 -> 滑川町 0.1652%
2位 滑川町 -> 狭山市 0.1554%
3位 小鹿野町 -> 秩父市 0.1315%
4位 滑川町 -> 入間市 0.1103%
5位 和光市 -> 朝霞市 0.1034%
6位 東秩父村 -> 秩父市 0.0826%
6位 東秩父村 -> 東松山市 0.0826%
8位 浦和区 -> さいたま市(内他区) 0.0683%
9位 滑川町 -> 東松山市 0.0601%
10位 越生町 -> 飯能市 0.0574%

川口市->さいたま市の実移動136名を川口市の人口で割ると0.0229%で、県内のランキングとしては56位になります。大したことありませんね。

むしろ上のランキングで出てくる町村が本当の人口問題を抱えていると考えるべきでしょう。

東秩父村と滑川町は周辺のより大きな市への移動が深刻なように見えます。東秩父村->滑川町->狭山市・入間市・東松山市というトコロテンのような移動が見えるのもなかなかシブいデータですね。これは3月中の移動に関する数字なので、もしかするとこのトコロテン感は学生さん(高校・大学)の進学に伴う移動かもしれません。やはりこういう数字は本来、年間トータルで見ないといけないですよね。とはいえ、いずれにせよ埼玉県の人口(減少)問題は、秩父や県北部にあるのだろうなぁという気はします。

また和光市->朝霞市の数字が意外と高くて、実は東武東上線沿線では、埼玉高速鉄道・京浜東北沿線の川口市->さいたま市以上に、郊外戸建住宅への転居が効いているのかもしれません。

そして興味深いのが浦和区からさいたま市内の他区への移動がけっこう大きい点。詳しくみると、中央区や緑区への移動が多いので、これもマンションから戸建て住宅への転居かなという気もします。

ほんとうは年齢階層別の数字があると移動の原因を推定できるのでもっとおもしろいのですが、その数字はさすがに公表されていないようです。

まぁこんな感じで、元データをあたって分析してみると、いろいろオモシロイ事実が見えてきます。見出しに踊らされてはいけませんぜよ。


カテゴリ: Public policy,Tokyo,Urban planning — Masa @ 9:54 AM

 

2024年6月8日

大学による別荘地開発@北軽井沢大学村

北軽井沢って、てっきり軽井沢町のなかにあるもんだと思ってたのですが、県境も超えて群馬県長野原町に存在するんですね。で、いろいろ調べてみると興味深い場所なので、実際に行ってみました。

はるか昔は草津温泉の交通の便が悪くて、なんと軽井沢から軽便鉄道が伸びていたそうです。大正時代に、この鉄道沿線に法政大の学長が別荘を構えたところ、お気に入りになったそうで、学長の意志で法政大教職員限定の別荘地「大学村」を開墾して分譲されたそう。そしてその最寄りの地蔵川停留所に駅舎を建てて寄付して「北軽井沢駅」にアップグレードしたそうな。

この軽便鉄道は昭和30年代に廃止されたそうですが、いまでもバスやお土産屋さんなどに「草軽交通」の名前が残っていました。で、北軽井沢駅の駅舎は保存されているので見ることができるのですが…

駅舎には「H」の文字がデザインに取り入れられていて、ここが法政大のショバだったことがよくわかります。

またこの周囲はいまだに「大学村」と呼ばれているようで、自治会も「大学村組合」みたい。

とはいえ戦前の開発ですし、もはやいろんな人たちに土地は譲渡されたのでしょうか、パッと見た感じ、駅舎以外には法政大の影響はあまり感じませんでした。

とはいえ、大学教員たちが避暑地で読書するために別荘地を開墾・分譲しちゃうなんて、とんでもなくロマンチックな歴史のように感じます。

平成以降は「若手研究者の苦労」だの「日本の論文生産力の低下」だの、昨日は国大協が法人の窮状を訴えて記者会見だのと、大学界隈では世知辛い話ばっかし聞かされますが、学長が知の涵養のために別荘地を開墾してしまう大正・昭和初期って、ロマンチックが止まらないなぁ…と北軽井沢の地でしみじみとしました。

 

 


カテゴリ: Science/Technology Policy,Travel — Masa @ 11:21 AM

 

2024年6月2日

埼玉にはプルメリアフェスティバルがあるのですよ

10年くらい前の自分はワイハー大好きで毎年のように行っていたのですが、いつの間にか行かなくなって、いまや円安で行きたくても近づけない価格になり…

とはいえ、心の師匠はハワイ在住ですし、やはりハワイは大好き。

で、以前はハワイ好きが嵩じてプルメリアを自宅で育てていたのですが、頑張って育てたために巨大化して、玄関の幅を超えるほどデカくなり、冬に室内に移動させることができなくなり、結局屋外で越冬できず、枯らす羽目に(泣)。

で、最近ずっと気になっていたのが、プルメリアの苗の販売店さんが、年に1回、イベントを開催していること。しかも場所は埼玉県内のガチな農場!

ということで今年はかなり前からカレンダーに開催予定日の予定を空けておいて、行ってまいりました。それが、サイタマ・プルメリア・フェスティバルサイタマ・プルメリア・フェスティバル

とはいえ埼玉らしく、こじんまりと、農園の温室内での開催です。駐車場も農道脇のスペースということで満車じゃないかと思いましたが、ギリギリ駐車できました。いかんせん農道なのでアメリカンサイズ(中)のクラリティPHEVでは駐車はかなりヤバかったのですが、係の人がつきっきりで見てくれて、ほんと、アットホームな感じでよかったです。入口で高校生くらい(?)の子がジュースを配っていたのもほんといい意味でユルいな感じでナイス。

で、温室の中にはプルメリアの苗が大量に!種類も50種類くらいあるみたい。正直なにがどう違うのかわからず、マニアの秘境に足を踏み入れてしまったようでドキドキ。とはいえハワイアンな音楽が流れて特にピリピリした感じもなくて、トーシローの自分でも「きれいだなぁ〜」といろんな苗を見て回れました。

最終的にLaredo Princessの4号鉢をゲット。前回のような巨大化は避けたいので、会計でどうしたらいいのか訊いてみたら、生産者さんを呼んでくれて、主宰の古屋さんまで来てくれて、結局、植え替えて根を切って成長を抑えるという解を得ました。

ということで、また、自宅でもハワイ(もしくはシンガポールw)を感じながら毎日を過ごせたらと思います。


カテゴリ: Life,Saitama — Masa @ 7:20 PM