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2025年3月8日

こういうのもPark-PFIでやってしまっていいのだろうか?

今週末は名古屋大学で研究会。ということで、ちょっと早めに名古屋に行って、今年度の都市計画の授業で、受講生の人がプレゼンで教えてくれた「Hisaya-odori Park」を視察してきました。

というのも、この「公園」が国交省のPark-PFIというスキームを使って、実質的に商業施設のように再開発されたらしいので、ずっと気になっていました。

で、地下鉄の久屋大通駅で降りて地上に上がってみると・・・

テレビ塔のまわりに整備された商業施設、って感じでした。公園といえば公園かもしれないけど、イオンモールのなかだと言われてもそうだろうな、という感じの空間。

面積比からしてもオープンスペースの割合がかなり低いようにも感じました。公園自体は南北方向に非常に長くて、商業施設が整備されている空間はその一部に限定されているので、たぶん公園全体のなかでの建物の敷地面積は小さいのでしょうけどね・・・。

良いか悪いかの価値判断は別として「公共空間の商業(私有)化」の最たる事例のように思います。


カテゴリ: Public policy,Travel,Urban planning — Masa @ 5:20 PM

 

2025年3月5日

「深夜電力」の概念がずいぶん変わったな

2010年頃だったでしょうが、オール電化でエコキュート(電動ヒートポンプ給湯器)の導入が進められた理由のひとつが、当時は、深夜電力が「余っていた」こと。

当時は原発もフツーに動いていて、ベースロード電源ってことで、24時間ずぅーっと発電していたわけですが、深夜に電力を使う人が少ないので、電力が余ってしまうわけですな。なお電力は「捨てる」ことができないので、揚水発電などで「貯める」か、あるいはそもそも原発を新設しない・動かさないという選択肢くらいしかないわけです。ということで、深夜零時でもお湯を沸かすためにガンガン電気を使ってもらえれば、おいそれと停止できない原発の電気を売れるので、原発依存度の高い電力会社にとっては都合のよいお話なわけでした。

原発事故以来、東電管内では原発がいまだに動いてないですし、たとえ柏崎刈羽の1基が再稼働したとしても全体からみれば大した量ではなく、震災以前の「深夜に電気が余る」事態は当面起きなさそうなわけです。

で、さっき自宅の電力使用量を確認できるページを見ていたら、「エコ・省エネチャレンジ」でポイントをくれるというので、なんだろうと覗いてみたら、なんと「夜間から昼間に電力使用を移したらポイントをプレゼント!」とのこと。以前は夜間に使えば安くなるのが常識でしたが、いまや昼間に使ったほうが安い(ポイントがつく)という、パラダイムが180度方向転換。

なんでやねん?と思ってよく説明を読んだら、昼間は(震災以降に急増した)太陽光発電による電力が余ってしまうのに、夜は(原発のベースロードがなくなったのに)エコキュートとかEV充電とかでむしろ需要が多い、という逆転現象のようです。まぁあたりまえといえば、あたりまえのことなんでしょうが、10年ちょっとで世の中正反対の方向へとトランジションするものなんですな。

とはいえ、まだ「夜トクプラン」などという夜間の割引は存在するようで、なんだかんだいっていまでも昼間よりは深夜のほうが需要が少ないから、太陽光を考慮しないのであれば、電力会社としては安価な発電手段が使える夜間のほうを安く設定する動機づけはあるのでしょう。

しかし、太陽光の発電単価が下がり続けているので、電力会社でさえも昼間の電力消費を推奨し始める事態に至ったということでしょう。このトレンドが続けば、太陽光発電の新設はさらに増えるのかと思います。

他方、これから10年なりの間で洋上風力が増えると、時間を問わず発電する(風次第ですが)ので、また夜間に電力が余る世界が到来するのかもしれません。なんだか不安定な時代ですな。それが再エネへのトランジションっちゅぅものなんでしょうね。


カテゴリ: Environmental policy,Science/Technology Policy — Masa @ 9:12 AM