2012年9月10日
2011年3月23日
災害復興に向けて都市計画研究者はいかに関わるかⅡ
今日はわが師匠、マサチューセッツ工科大のLawrence Susskind先生に、災害復興に関してアドバイスを乞いました。
曰く、collaborative and adaptive cityをつくっていく必要がある、とのこと。町を設計するのではなくて、刻々と変化していく環境に地域の人々が適応しながら修正できる都市をつくっていくべきだろう、とのことです。
そのためには、地域の人々に、周囲の環境にあわせて自分たちの町をつくりあげていくスキルを身につけてもらうこと、そのための最初の一歩のプロセス面での支援を与えることが、いま、プランナーに求められることだろう、とのことでした。
結局、外からやってきた人間が理想都市をつくったり懐古風の街並みを再現するのではなく、そこに住み続ける人々自身が、都市の順応的管理を納得できる形で行っていくキャパシティと仕組みをつくること、がわれわれの仕事なのかもしれません。住民のみなさんが話し合って納得できる形で柔軟な都市を形成できるような制度設計がいまわれわれに求められているのでしょう。
地震災害だけでなく、今後、地球規模での気候変動や、大規模な経済構造の変革が頻繁に起きることを想定すると、住宅など最低限のインフラ整備以上の都市整備は、一気に復興するのではなく、自然だけでなく社会経済の環境変化に柔軟な対応できるような余裕を残しておいて、さらに住民自身が今後自分たちで変えられるような仕組みをつくっておく必要があるのでしょう。
2011年3月22日
災害復興に向けて都市計画研究者(学生)はいかに関わるか
ハリケーン・カトリナからの復興に際してコーネル大学の都市地域計画学科の一員として現地に入ったJohn Forester先生に、これからの震災復興における都市計画系研究者や学生の関わり方についてアドバイスをいただきました。
以下、私自身の解釈に基づく要点です。ご本人の言葉をそのまま訳したわけではないので文責は私にあります。
- まずは現地の人の声に耳を傾ける
- 自分の思想、技術、解決策を押しつけてはならない
- 米国では過去に、一部のコミュニティが研究者の好き勝手にされて迷惑を蒙った歴史(研究公害)もあり、研究者の関与に対して警戒感が高い
- 現地のパートナー組織が必要
- 現地からの要請で関わるのであれば自ずとそのような組織が存在するはず
- 現地に関わる段階で地元の団体が重要になる
- 学生が関わる前に十分な注意(研修)が必要
- 「技術を供与してあげる」ような思想、姿勢、態度は受け入れられない
- 相手に知識が欠けていると言っているようなもので相手を蔑むことになる
- 自分の能力を過信させない必要がある
- 「技術を供与してあげる」ような思想、姿勢、態度は受け入れられない
確かに自分のまちづくり思想を押し付ける都市計画のひとたち、多いですものね。われわれの先入観を取っ払って、現地の人たちが何を望んでいるのか、きちんと聴いてまわるところから始めるべきなのでしょうね。