2016年6月16日
灯台は「陸上」なのか?
Cuban Migrant Lawyers Say Keys Lighthouse Equals US Arrival – ABC News.
米国からキューバへの定期航空便が飛ぶようになったいまでも、米国へ逃げ出そうとするキューバ難民はたくさんいるのですね。確かに北朝鮮だって北京への定期航空便があるにもかかわらず簡単には逃げ出せそうにないですものね。
で、今回の一件。まず、前提として、米国の「陸上」に足を踏み入れた難民は上陸が許可され、「海上」で捕まった難民は強制送還にする、という米国連邦政府のルールがあるそうです。
今回問題の難民たちは、沖合7マイルにある米国連邦政府所有の灯台、American Shoal Lighthouseに泳ぎついて、灯台のやぐらに登っていたところを沿岸警備隊に見つかり、身柄確保されたそうです。
さて、この沖合にある灯台は、難民の上陸許可を判定する上での「陸上」なのでしょうか?
連邦政府の検事は、これは構造物であって陸上ではないと主張しているそうです。弁護士は、灯台が連邦政府所有であり、陸上だとみなすべきだという主張をしているそうです。判事は、これは難しい問題だということで、判断に時間を要しているそうです。
確かに、陸続きではない構造物に登ることが陸上とみなされてしまえば、際限なく適用範囲が拡がりかねない危惧もわかります。しかし、過去の判例では、古い橋梁の遺構で、すでに陸とつながっていなかった構造物に登った難民が上陸を許可されたことがあるそうで、これを適用すれば今回も許可されるべきだろうという見方があるそうです。
法的思考のパズルとしてはなかなか興味深い事案ですね。とはいえ、キューバとの急速な関係改善を考えれば、そもそも”wet foot, dry foot”というキューバ国民のみを対象とした謎の判断基準を見直す時期が来ているのかもしれません。