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2009年10月19日

科学技術と情報のガバナンス

なんてタイトルだと、大学院での講義のように聞こえるでしょうが、もっと身近な話題。

台風上陸地「愛知だ」「いや三重」 官民バトル大荒れ

気象庁が台風の通過経路についてウェザーニュースに噛みついてるらしい。確かに防災情報は国民の安全に関わる重要な情報だろうが、台風が三重に上陸だろうが、愛知に上陸だろうが、大した違いじゃないんじゃないか。気象庁の公式ルートだって、志摩半島かすってるじゃん。上陸しようがしまいが、この地域は危なかったんでしょう。結局、上陸したかしないかなんて、どっちでもいいことじゃないのか?ほんとうに国民の安全を心配しているのなら、こんな重箱の隅をつっつくようなことでとやかく言っている暇などないはずだが。

気象庁としても、自分の縄張りがどんどん浸食されていっているようで、そうとう焦っているのでしょう。彼らがイライラすればするほど、自分の無力さに対する焦燥感を露呈しているようにしか見えない。

しかもウェザーニュースは、サポーターという、一般市民からの情報提供をもとにしているという。いわば、ツイッターの天気予報版ってとこでしょう。もちろん、一般市民から寄せられた情報がマスヒステリーに基づくものだと怖いけど、まぁ、インタラクションをうまく設計すば、まぁまぁ信頼できる情報は得られるはず。

これまで、台風の進路というきわめて「科学性」の高い情報は政府だけが取得でき、そしてその情報特権こそが政府(気象庁)を権力者たらしめていたのだろう。そして、その特権を考慮した法規制が構築されてきた。しかし、いまや、民間でも工夫次第で科学性の高い情報を取得できる時代である。科学技術の専有こそが政府の情報特権の基盤であったはずだが、その基盤が消失してしまった今、政府に残された権力の拠り所は、旧態依然な法規制という空虚な枠組みでしかなく、それを使ってカラ威張りするしかないのだろう。こういう空洞化は、政府のあちこちで起きているような気がする。


カテゴリ: Environmental policy,Science/Technology Policy — Masa @ 10:31 PM