2024年11月14日
バルセロナのスーパーブロック(Superilles)の視察 (11/06/2024)
都市計画とか交通計画とかの分野で、最近、バルセロナがアツいんですわ。まさに「燃えろバルセロナ」((c)日出郎大先生)。
そのひとつがスーパーブロックという、街路の歩道化みたいな事業。
バルセロナの新市街地自体が近代都市計画の見本みたいなもので、グリッド構造&斜めの大街路を組み合わせて交差点に広場を設けるという、ワシントンDCなどと同じ都市構造。
で、従来、街路は自動車の通行のために使われていたわけですが、最近になって、複数のブロックをひとつにまとめた「スーパーブロック(Superille)」を新た位置付けて、そのスーパーブロックの内部の街路は歩行者や住民のために再構成する取り組みが始まっているそうです。
Google Mapで”Superille”と検索してみて、アクセスのよさそうだった、Eixample地区とRocafort-Consell de Cent地区のスーパーブロックを視察してきました。
Eixample地区は学校とコラボしているのか、学校がどうのこうのと掲示されていましたが、規模が小さい感じがしました。街路を封鎖して、ありがちな木の箱とかを置いて、パークレット風情にしてるだけの感じ。もしかするとこれから整備が進むのかもしれません。
Rocafort-Consell de Cent地区は整備が終わっているのか、かなりの街路が歩行者用に再整備されていました。
とはいえ歩行者専用ではなく、クルマも進入できるようになっていて、けっこう、入ってきていました。ただし交差点部の中心は公園化されていて、クルマはその脇を徐行する感じでした。
植栽にもParc i Jardinsという掲示があり、完全に公園扱いですね。
で、地域の人の憩いの場として機能していて、老人が休憩していたり、若者が寛いでいたり、赤ちゃんにミルクを与えてる父親なんかも見かけました。ベンチも例のホームレス排除のタイプではなく、寝転ぼうとすればできなくはないタイプ。でもホームレスは1人しか見かけなかったかな。
ということで魅力的な空間でしたが、同時にgentrification問題をすでに引き起こしている模様(今回参加した学会でも報告がありました)。で、こんな落書きも(”free housing for all, tourists go home”)。
バルセロナはオーバーツーリズム問題がひどくて、住民らが「観光客帰れ」デモを行ったほど。民泊が儲かるものだから、住民が追い出されて民泊が増えて、家賃高騰を引き起こしちゃっているんでしょうね。
魅力的な都市整備をすると金持ちが闖入してきてコミュニティが失われる、それは自由資本主義なら正しい帰結なんでしょう。しかし、ひるがえって地域住民からすると、それならいっそのこと魅力的じゃないほうがよい、と思えてくるので、むしろ衰退していく・・・という負のスパイラルに陥る。どうしたもんでしょうかね。