2013年7月14日
トランジション・マネジメント
科研費研究と科学技術ガバナンス講座の一環で、オランダのエラスムス大学オランダ・トランジション研究所長のダーク・ローバックさんと研究員2名が来日され、研究会や公開セミナーなどを実施しました。
金曜日夜の公開セミナーでは、トランジション・マネジメントについてイントロダクションとなる講演をお願いしました。小職は逐次通訳役だったのですが、トランジション・マネジメントの概念を理解する上でとても有益な場となりました。ただ、いくつか疑問点も残り、土曜日午前のクローズドのゼミで、democracyという側面でどういう配慮や影響があるのか、詰めて議論することができました。
トランジション・マネジメントですが、まずは、意思決定支援ツールではない、という理解が重要だと思います。自分を含め、いろいろな人々が、市民参加や熟議のプロセスを実践していますが、それらの暗黙の了解として、意思決定に対して何らかの形で情報を提供することが目的にされてきたような気がします。対照的に、トランジション・マネジメントは、人々が議論する場をつくってイノベーションを惹起することに主眼にあって、政府等の意思決定に有益なアウトプット(政策提言など)を生成することに軸足を置いていないようです。むしろ、サステナビリティ(持続可能性)を目標とした社会運動のネットワーク(一種の認識共同体かもね)形成のトリガーとして、トランジション・アリーナという議論の場をつくる活動をしているみたいです。
具体的には欧州5都市でMUSICというプロジェクトをやっているそうで、地域のリーダーなどを集めて、2050年のビジョンを描いてみたり、そこからいろんなアクターが具体的なアクションを起こしてみたり、などの動きがあるようです。