2011年3月22日
ハリケーン・カトリナからの復興に際してコーネル大学の都市地域計画学科の一員として現地に入ったJohn Forester先生に、これからの震災復興における都市計画系研究者や学生の関わり方についてアドバイスをいただきました。
以下、私自身の解釈に基づく要点です。ご本人の言葉をそのまま訳したわけではないので文責は私にあります。
- まずは現地の人の声に耳を傾ける
- 自分の思想、技術、解決策を押しつけてはならない
- 米国では過去に、一部のコミュニティが研究者の好き勝手にされて迷惑を蒙った歴史(研究公害)もあり、研究者の関与に対して警戒感が高い
- 現地のパートナー組織が必要
- 現地からの要請で関わるのであれば自ずとそのような組織が存在するはず
- 現地に関わる段階で地元の団体が重要になる
- 学生が関わる前に十分な注意(研修)が必要
- 「技術を供与してあげる」ような思想、姿勢、態度は受け入れられない
- 相手に知識が欠けていると言っているようなもので相手を蔑むことになる
- 自分の能力を過信させない必要がある
確かに自分のまちづくり思想を押し付ける都市計画のひとたち、多いですものね。われわれの先入観を取っ払って、現地の人たちが何を望んでいるのか、きちんと聴いてまわるところから始めるべきなのでしょうね。
2011年1月14日
神栖市にはたくさんの風力発電所が立地しています。そのほとんどが、海沿いに設置されているので、風力発電がどんなものかを実際にこの目で確かめるには、とてもよいところだと思います。ということで、強行軍で見てまいりました。実物もそうですが、写真で見ていただいてもわかるとおり、構造物としてすなおに美しいと思います。太平洋の大海原が背景にあるからこそ、この美しさが映えるのかと思います(画像をクリックすると大きな画像をみることができます:自画自賛のようですが:)、けっこう綺麗に撮れました)
波崎漁港の海風丸
SUNSUN公園にある市民風車
エコパワーの波崎ウィンドファーム、展望台があります
神栖風力発電施設、Vestasの風車が青空によく映える
ウィンド・パワーかみす
2009年11月1日
気象庁とWNIの論争は見ていて興味深いのだが、産経のこの記事には驚いた。気象庁担当者が講習会の場で次のようなことをのたまわったらしい。
ある気象予報士から「台風が温帯低気圧に変わるタイミングが遅いのではないか」と問われた気象庁側は、「防災上の観点から温帯低気圧を台風としているケースもある」と説明。
(中略)
「部外の学識経験者から、『台風情報から温帯低気圧の情報に変わったために、防災対応に支障が出ることがある』との意見を頂いている」と強調した。
「科学技術に立脚し」だのと言いながら、温帯低気圧を台風だと発表して、世間の人々を惑わせているわけですな。そんな恣意的な判断が入っているようでは、気象庁のいうところの科学技術の信憑性までも疑いたくなるものです。また、上記引用後半のようなことをのたまう学識経験者なる人物はいったい誰なんだろうか?台風といわれるか温帯低気圧といわれるかによって人間の行動が変化することは明らかではあるが、かといって、温帯低気圧と言うと本当に防災対応に支障がでるのであれば、温帯低気圧のリスクに関する知識の底上げを積極的に図るべきという結論が唯一無二であって、科学技術に立脚しているはずの情報に勝手な匙加減を加えるというインチキを正当化することにはなりえないでしょう。最後は学識経験者に責任転嫁するあたりも、いまや珍しい古典的な役人ぶりですな。
今回の問題は、要は、科学技術の名を借りた言説統制に関する権力闘争でしかないような気がします。科学技術に基づく分析と、分析結果を用いた判断(この判断には政治的要素が含まれる)という2つのプロセスを明確に分離しないと、結局は科学技術という名の下に政治的権力が発生してしまうのでしょう。