2016年5月3日
小物釣りの愉しみ
僕だってアジとかサバとか、夕メシのおかずになりそうな魚を釣りたいわけですが、埼玉県東部に住んでいると、たまにしかそんな釣行はできません。普段は、川や池や管理釣り場(釣堀)でチマチマとした釣りに終始しております。管理釣り場でルアーやフライでニジマスなどの鱒を釣っていたら持ち帰って食用にもなりますが、入漁料がけっこうな金額になりますし、さらにルアーは得意ではないので、あまり積極的には行く気にはなれません(冬の間はしらこばと水上公園で遊ぶこともありますが)。
ということで、春~秋は近所の池で小物釣りに興じております。
小物釣りの代表格はタナゴでしょうね。なかなか釣れません。口がとても小さいので針に掛かりにくいですし、護岸整備や外来種の影響もあってか数も少ないですし、他の小魚に比べて食欲があまりないような印象もあります。そんなこともあってか、タナゴ釣りが、独特の趣味の世界を形成しています。高級な専用竿は超コンパクトな延べ竿で、収納すると筆くらいのサイズになります。どうやら、仕事をサボってコッソリとタナゴ釣りに行けるよう、竿や仕掛けを超コンパクトにしたオッサンたちの歴史があるようで、タナゴ釣りマニアは、竿をコンパクトに収納すること自体に風流さを見出しているようです。まぁそんな感じで、カネを注ぎ込もうと思えば天井知らずの趣味の世界が広がっています。とはいえ私は、そんなカネもないし、そこまでハマっているわけではないので、他の小物と同じように釣っています。だからなかなか釣れないのでしょうが。
自分が普段狙うのはクチボソ(モツゴ)です。小鮒よりひとまわり小さく、5cm~10cmくらいのサイズが一般的です。タナゴにくらべれば数も多く、アタリを取るのは難しいのですがタナゴよりは容易で、食欲も旺盛なので、小魚釣りのなかではいちばん簡単な釣りだと思います。エサを口でつまんだら一気に引っ張る習性があるようで、ウキがすごい勢いで沈むのがゲーム性高くておもしろいです。でも、ウキが沈んだからといってすぐにアワせても針にかかることは稀で、何回かポンポンと沈み込んだあとで、ダーっと一気に引きずり込むような引きがあったところで迅速かつソフトにアワせる必要があります。これって慣れるまではけっこう、難しいんです。慣れると、ウキの沈み方を通じてクチボソとゲームを戦っているみたいで、なかなか愉しいものです。
クチボソ。雄のほうがサイズが大きく、口の周りに「追星」というブツブツが出る。
ほかにも、モロコという魚もけっこう、釣れます。モロコは底にいることが多く、冬につれることが多いと思います。
モロコ。この写真だとイワシみたいだけどサイズはかなり小さい。
仕掛けですが、僕の場合はタナゴもクチボソも同じで、某ホームセンターで500円でかった「金魚竿(1m弱)」に、0.4mmの道糸(タナゴ釣り用のものが必要)、ウキ止めにお気に入りのタナゴ浮きを刺して、自動ハリス止め(サルカンでも可)の先に、5cm程度のハリスを残してタナゴ針をつけています。これで十分、(大きめのサイズならば)タナゴも釣れます。針の選択が難しくて、自分は(後述するように)アカムシをエサに使うことも多いので、流線という大き目の針を使っています。ただし小型のタナゴも含めて狙うのであれば、ちょっとお高い「極」という針を使うのがよいようです。
体長2cmくらいの超小型タナゴ。針を「極」にしたら釣れました。
仕掛けで重要なのが、ウキと錘のバランスです。板オモリの鉛を小さく切って、ハリス止めの上に巻いてつけるのですが、これが小さくて巻きつけるのがほんと、難しい。また、ウキの浮力と仕掛けの重さがちょうど拮抗する程度、つまりウキがギリギリ水面に浮いてくるように錘の量を調整しなければなりません。錘が少なければ、ウキの浮力が強すぎて、小魚がビックリしてすぐにエサから口を離してしまいます。錘が多ければ当然、ウキが水中に沈んでしまって、釣りになりません。すこし多めに板オモリを巻きつけて、ちょうどウキが浮きはじめるところまで、少しずつ試行錯誤で除去していくのがよいのではないかと思います。この作業をスキップすると、なかなかアタリが来なかったり、合わせることが困難だったりすることになるので、新しい仕掛けをつかうときは面倒でも時間をかけてチェックすべきです。
エサですが、グルテン1というマルキューのエサがタナゴ釣りにはよいようです。エサは超少量でよいので、1回の釣りでスプーン1杯分程度のエサをつくれば十分です。1袋まるまる使ってしまうと、ほとんど全部捨てて帰ることになるでしょう。このエサを針の先端にごく少量、ひっかけるようにしてつけます。フナ釣りのように手で丸める必要はない、というか丸めてはいけないようです。これでクチボソも釣れます。とはいえ・・・僕自身はグルテン1はどうも相性が悪いというか、アタリをうまくとれずに逃してしまうことがおおいです。
タナゴの雄(繁殖期)。正確にはタイリクバラタナゴという外来種で派手な婚姻色。
ということで基本はアカムシを使っています。アカムシは子供の遊びの釣りエサのように見られてバカにされがちですが、グルテン1に比べればぜんぜん、魚が食いついてきます。また練り餌はすぐにエサを取られちゃいますが、アカムシはアタリを取れなくてもまだ針にエサが残っているので、何度でも繰り返しアタックできます。また釣った魚を針からはずしてもアカムシは針に残っていることが多く、調子のよいときは1匹のアカムシで数匹の小魚が釣れます。針につける方法でいちばん簡単なのは、アカムシの頭(黒い部分)の先端を針にひっかける「ちょんがけ」です。これでも十分釣れますが、エサをちょっとくわえて逃走するクチボソの習性のため、ウキが引いたとしても、針まで食ってないことがほとんどで、いくらやってもアタリを取ることができません。タナゴに至っては小さなおちょぼ口で、チュパチュパとアカムシの中身だけを吸いだしてしまうようです。なので、できれば、アカムシを針に通してあげることが理想です。ここで流線の針が面目躍如で、頭のすこし下から刺して尾まで針を通して、尾から針先を出すことができます。こうすると、お魚がパクっとアカムシをくわえた時点で、針先が魚の上あごにひっかかる可能性が高くなります。
おもしろいのが、時期・時間や場所によっては、アカムシを全然食ってくれないこともあります。そういうときにグルテンに替えてみると、急にアタリが来ることも多いです。両方を使い分けるのが一番よいのでしょう。あと、釣り場ってものすごいダイジで、同じ池でも、すぐに釣れる場所と、ぜんぜん釣れない場所があります。自分にあった釣り座を見つけるのも、釣りの醍醐味でしょうね(釣れる場所は空いてないことも多いですが・・・)。
まぁここまで書いてきましたが、釣りなんてルールはありません。場所によって魚の挙動は違いますし、水温や天候によっても全く変わります。自分でいろいろ試行錯誤して、自分の釣りにイノベーションを起こすことが釣りの醍醐味ともいえるのではないでしょうか。