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2013年8月24日

ILC立地選定にみる「科学者」の位置づけ

ILC戦略会議という、素粒子の研究者が自主的に組織化した集団が、脊振山地より北上山地のほうが望ましい立地だという意見表明をしたそうですね。で、記事を斜め読みしていたら、こんな記事がありました。

『ILC計画の旗振り役である■■大の■■■准教授は「科学的、学術的観点で決めるべきであり、私たちの評価内容に間違いがない限り、政府にひっくり返されることはない」と自信を見せる・・・』
引用元: 脊振落選、不満タラタラ ILC誘致、第2ラウンドへ 福岡・佐賀 – MSN産経ニュース

もちろんILCを利用する研究者のユーザー視点による評価は重要でしょう。しかし、それが政策判断とイコールであると断言することは、「政策に関する科学者・専門家」としての専門的知見に基づく発言ではなく、「ILCを日本に立地させたい科学者」としてのステークホルダーとしての政治的主張ですよね。

これが政策と科学をつなぐ際に厄介なポイントで、評価内容は「科学的」だけども、それを意思決定に反映してもらおうとすることは「政治的」行為。しかし、両方の活動をおこなう主体は「科学者」という同一人物にならざるを得ないのですね。

この、「科学者」なる同一人物が複数の役割を担わされていることを、情報の受け手である、政府関係者、市民社会、科学者などが意識できるかどうか、が政策と科学をつなぐ上でのキモなのかな、と思います。

 


カテゴリ: Science/Technology Policy — Masa @ 10:32 AM