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2017年6月28日

幼稚園や学校の騒音問題をどうするか

越谷でこんな事件があったそうですね。

幼稚園教諭に包丁向ける=「騒音うるさい」男逮捕-埼玉県警

包丁とは物騒な話で、そりゃ逮捕されるでしょうし、許せないと思う人も多いでしょう。

とはいえ、幼稚園や学校のまわりって、決して静かではないんですよね。自分の身の回りにないから僕も「うるさい」と思わないですが、自宅の目の前にあったら「うるさい」と感じるかもな、と思わなくもないです。

ひとつの対策は、飛行場のように周囲の家に防音工事を施したり、音源たる幼稚園や学校が音を出さないように屋外活動を控えて窓を閉め切ったりと、徹底的に音を遮断する工学的な方法でしょうか。費用もかかりますし、子供が園庭・校庭に出れないというのは不健康な気もします。

もうひとつの対策は、こういう事件に至る前に、うるさいと感じる人が気軽に話を聞いてもらえる場をつくることかと思います。たとえば、騒音は公害の一種ですから、公害紛争処理の制度を利用することもできます。もちろん幼稚園と近隣住民が直接話し合ってお互い納得いく対策がとられればそれでよいのでしょうが、そういうややこしい対話・調整はそれなりの経験とスキルが必要で、当事者同士の話し合いでは解決せず、逆に、今回の事例のように悪い方向へと進むことも多いでしょう。そういうときこそ、都道府県職員や専門家が間に入って仕切ることで、問題の深刻化を落ち着かせることができるはずです。

これから少子化が進むから騒音問題は減るのかもしれませんが、逆に、少子化で「甘やかされて」育った人が増えることでちょっとした騒音も気にする「わがまま」な人が増えることも考えられます。マイカー所有も増えたので、幼稚園や学校周辺の路上駐車が増えてる問題もあります。こういうとき、苦情や不満を早めにぶつけられる捌け口がないと、鬱憤が蓄積して、今回のような事件が繰り返されるかもしれません。公害紛争処理もひとつの手段ですが、役所も忙しくて手が廻らないかもしれませんので、たとえば幼稚園や学校の関係団体が、第三者的立場から紛争解決に乗り出す仕組みがあってもいいのかもしれませんね。


カテゴリ: Environmental policy,Public policy,Urban planning — Masa @ 7:59 AM

 

2017年3月3日

オランダの自転車政策事例

2月中旬にオランダでトランジション・マネジメントに関する事例調査を行ってきました。この調査、自転車の通行に関する科研費研究の一環で行ったのですが、オランダということで、結果として、自転車に関連する事例がたくさん集まりました。写真をたくさん撮ってきましたので、以下アップロードしておきます(無断転載はご遠慮くださいマシマシ)。

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ユトレヒト駅前。オランダは従来、駅前の道路が自転車で溢れかえっていましたが、駐輪禁止となったと同時に大規模な駐輪場整備が進められています。

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駐輪禁止の看板

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運河沿いの柵に自転車を括りつけるのがオランダの習慣ですが、この地区は駐輪禁止となり見事に自転車の括りつけがなくなっています。

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公共駐車場を潰して自転車駐輪場に変更したそうです。

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右側通行の厳守は言うまでもないですね・・・逆送する自転車は1台しか見ませんでした。写真右上に映りこんでいるのは駐輪場の空き台数表示板です。

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ユトレヒト旧市役所地下の駐輪場。電気自転車充電サービス、乳母車貸し出しサービスがあります。上の写真は、駐輪場の空・満を監視するカメラで、駐輪台にセンサーを設置するのではなく、天井に設置したカメラの画像自動解析で駐輪台数を捕捉しています。

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自転車優先道路。この車道では自動車は自転車を追い越してはいけません。

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ハウテン市。自転車を中心に設計されたニュータウンで自転車道のネットワークが張り巡らされ、自動車交通は町を取り囲む環状道路でバリアされています。上の写真のガラス貼りの構造物が国鉄駅で、基本、自転車でアクセスです(高架駅の下が駐輪場です)。

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ロッテルダムの自転車用信号。青・赤の残り時間が表示されます。ここにしか存在しないようなことを聞きました(真偽不明)。


カテゴリ: Environmental policy,Netherlands,Public policy,Urban planning — Masa @ 8:57 AM

 

2017年2月10日

五島の浮体式洋上風力発電(崎山沖)視察

洋上風力発電の地域合意形成についてはMIT在籍中から、かれこれ15年ほど、ウォッチしてきました。うまくいっている事例もあれば、ぜんぜんうまくいかない事例もあります。そんななかでも、特に地域に「愛されている」洋上風車である五島の浮体式洋上風力発電施設について、五島市役所再生可能エネルギー推進室への聞き取り調査とともに、視察してきました。

聞き取り調査などの専門的な内容は論文などに別途まとめるとして、今回は風車のご紹介。風車はこんなふうに、海のまんなかに建っています。

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五島の風車は「浮体式」といって、実は足が海底に着いていません。細長い、巨大な電柱みたいな棒が海に浮いていて、流れていかないようにチェーンで碇に係留されています。海上に見える部分は鋼製ですが、海底の大部分はコンクリ製です。要は下水道などで使われる「土管」みたいなものですね。

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視察した日は少し曇っていたのですが、逆にちょっと荘厳な雰囲気の写真を撮ることができました。写真の遠くには福江の街も見えます。

以前は椛島という島の沖合いに設置されていたのですが、昨年度末に、現在の福江島崎山沖へと移動したそうです。椛島は小さな離島ですので発電した電力を使い切れない問題があったそうですが、今度は五島列島で一番栄えている福江島の電力線へと接続されているので大丈夫なのでしょう。浮体式はこのように、比較的容易に移動できるというのがメリットかもしれませんね。現在の風車も、撤去せざるを得ない問題が発生したら、そのままどこかへ曳航すればいいわけですものね。

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当日は、風車から一番近い崎山地区も訪問しました。上の写真のように、漁港の防波堤の向こうに、風車の翼を見ることができます。

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また箕岳という五島らしい丘/山に登ったのですが、そこからは風車の位置関係がよくわかりました。上の写真のように、陸から、あまり離れている感じがしません(近くという感じでもないですが)。近くで漁船が操業しているのも見えました。実はこの風車、海中部分に付着物防止の塗装を敢えてしていないそうで、すでに大量に付着物(海草や貝でしょうか)がついており、そこに魚がたくさん集まってきているそうです。以前は魚が逃げるのではないかとみなさん恐れていましたが、実際に建ててみたらなんのことはない、逆に魚が集まってくることが判ったんですね。

さて、五島島内の移動、今回はレンタカーを利用しました。

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見ての通り、電気自動車(三菱のi-MiEV)です。五島では、実は、エビッツ(EV&ITS)事業という名で電気自動車の利用をかなり本気で促進してきました。観光に電気自動車を使ってもらえるよう、EVの充電所もそれなりに整備されています。この事業、東大の生産研の鈴木高宏先生(当時)が長崎県に出向されていた頃に担当されたプロジェクトで、大学の先生が行政職員として現場で技術導入・社会実装したという、地域イノベーションの研究としてもとても興味深い事例なんですね。で、自分は、今回がはじめてのEV体験。最初はエンジン音がしないので非常にまごつきましたが、慣れると、けっこう、おもしろいです。回生ブレーキを効かせていかに航続距離を伸ばせるかという楽しみもありますし。もし五島にいらっしゃる機会があれば、是非EVレンタカー、体験してみてください。僕は「レンタカー椿」さんにお世話になりました。空港から貸し出し場所までの移動の間に、懇切丁寧に運転法を教えていただけます。