ホーム » ブログ

アーカイブ

検索


フィード


管理

2017年12月15日

台湾のレシートがスゴイ

今週火曜日に台湾の国立中山大学主催の「離岸風力発電国家政策与法律国際研討会」で発表してきました。前夜入りで、午後10時ごろ到着したのですが、ちょっと街を歩いてみたらスーパーマーケット(頂好Wellcome)がまだ空いていたのでお土産を購入。レシートを貰うと・・・

IMG_20171215_090551

こんな紙もついてきました。というか台湾で買い物すると常にレシートのほかにもう一枚、紙がついてきますよね。

これなんだろう?確定申告とかで使うのかな?と勝手に想像してましたが・・・なんと「宝くじ」らしいです!

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E4%B8%80%E7%99%BA%E7%A5%A8

税の徴収を確実にするために、すべての領収書に統一の番号を振るようにしただけでなく、その番号を使ったくじびきを2ヶ月に1回行い、同じ番号の領収書を持っている人には国が当選金を支払うという制度なんですね。

自分は全く知らずに、これまで捨ててました(泣。これから台湾旅行に行く人はこの紙、ちゃんととっておかないとモッタイナイですね!日本人でも当選金もらえるらしいですよ。

で、「おもしろいねー」というだけじゃなく、これってけっこう、政策を考える上で先進的な事例じゃないかと思うわけです。最近、公共政策の分野では、Nudge(ナッジ)という単語を何かとお騒がせなサンスティーン教授が流行らせたのですが、行動経済学というか、社会心理学というか、そういう知見を使って個人の行動を「望ましい」方向へ誘導したらどうかってアイディアがでてきてるんですね。いちばんわかりやすいのが、最近、男子用の小便器に「的」が描いてあるやつ。あれって何の意味もないけど、男ならあれを狙って放尿しますわな(女性にはわかりづらいですね・・・)。で、そういう、人間の本能というか心理みたいなものを使って、行動を誘導しようというのがNudgeというアイディアなわけです。

で、台湾のレシート、これって明らかにNudgeですよね。国が法規制で「領収書をちゃんと番号で管理しろ」と命じることはできるでしょうが、それだけじゃ、メンドウだからとか、脱税しちゃお、とか、悪魔のささやきに唆されてサボっちゃう人たちが出てくるかもしれませんよね。「じゃぁ、厳しい罰則を課せば(ディス)インセンティブになるだろう」と考えるのも従来の公共政策の考え方かと。そこで、「宝くじ」という人間の射幸心を使って、「ちゃんと番号を保存しておこう」と搦め手で誘導したのがこの台湾のレシートのイノベーションと思われるわけです。ウィキペディアによれば実際に徴税率がかなりあがったそうですし(笑。

ということで、台湾のレシートってすごいなぁ、と感心した次第。


カテゴリ: Public policy,Travel — Masa @ 9:23 AM