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2016年11月9日

トランプの勝利スピーチを日本語に翻訳してみた

どういう言葉づかいをしたのかを確認したくて、トランプ氏の勝利スピーチを日本語に翻訳してみました。明日は朝が早いので、全部やってたら大変そうなので、お友達紹介までの、政策っぽい部分の終わりで止めましたがご参考まで。誤訳などもあるかもしれませんが、まぁ、イキオイで作業したnon-academicな趣味的なものということでご容赦を。

http://www.nytimes.com/2016/11/10/us/politics/trump-speech-transcript.html

 

ありがとう。みんな、本当にありがとう。

(拍手喝采)

みなさんお待たせしてすみません。いろいろ面倒なことがあって、面倒なんだよ。

(拍手喝采)

本当にありがとう。

(拍手喝采)

いまクリントン長官から電話をもらったところなんだ。

(拍手喝采)

彼女は僕たちを誉めてくれたんだよ。僕たちだよ。僕たちの勝利をね。僕はこれまでの、彼女と彼女のご家族の、本当に大変な選挙運動をねぎらったし、うん、本当に彼女はがんばったと思う。

(拍手喝采)

ヒラリーはほんと長い間、すごいがんばったし、僕たちの国のためにがんばってくれたことを、僕たちは感謝しないといけないんだよね。

(拍手喝采)

僕は本気でそう思ってるんだよ。

(拍手喝采)

さて、いまこそ、これまでの対立で傷ついたアメリカが一緒になる時がきたんだ。みんな一緒にならなきゃ。この国の、共和党員も民主党員も無党派層も、みんな、ひとつになる時が来たんだよ!

(拍手喝采)

いまだよ!僕たちのこの土地の、ひとりひとりの国民のみなさんに、僕はすべてのアメリカンの大統領になるし、それは僕にとって本当に大事なことなんだ。

(拍手喝采)

これまで僕を支持してくれなかった人たち・・・まぁたくさんいるんだけどさ・・・.

(笑い)

・・・僕はみなさんの支援と支援を頂戴したくて手を伸ばしているんだし、そうしてこの素晴らしい国を一体的なものとして協力したいんですよ。

(拍手喝采)

最初から言ってるように、僕たちの活動は選挙運動じゃないんだ。むしろ、数百万という働き者の、この国を愛し、そして自分と家族のためによりよい、明るい社会を築こうとしている男女からなる素晴らしい、これまでにない市民運動なんですよ。

(拍手喝采)

あらゆる民族、宗教、背景、信念を抱き、政府が本当に人々の役に立ってほしいと思っているアメリカンの運動なんです。

(拍手喝采)

協働することで、僕たちはこの国の再建、アメリカンドリームの再生という喫緊の作業に取り掛かるのです。僕自身、これまでの人生とビジネスは、世界中のプロジェクトと人々の潜在的なポテンシャルを引き出すことだったんです。これをいま僕たちの国のためにやろうとしているわけです。

(拍手喝采)

とんでもない潜在能力ですよ。僕たちの国はそれなりに知っているつもりですが、ほんととんでもない潜在能力です。こんな素晴らしい世界が待っているなんて。あらゆるアメリカンは、自分の潜在能力を最大限発揮する機会を持てるんだ。これまで見捨てられてきた僕たちの国の男女は、もはや見捨てられることなんてないさ。

(拍手喝采)

僕たちの中心市街地、僕たちの高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院をこれから立て直すんです。僕たちはインフラストラクチャーを再建し、これまでにないようなね、ほんと、最高のものとするんです。その再建を通じて、百万というわたしたちの人々に仕事を与えるんです。

そして、今度こそ、すばらしい退役軍人のみなさんをお世話しなければなりません。

(拍手喝采)

みなさんは本当に忠誠を誓ってくださいました。これまで18ヶ月間の旅を通じていろんなみなさんとお会いしました。みなさんと一緒の時間を過ごしたことはこの選挙運動期間のなかで僕の一番の誇りです。私たちの退役軍人のみなさんはほんとう素晴らしいみなさんです。この国を成長させ、再生するプロジェクトにこれから取り組みます。私たちの創造性を活用し、国民に資するようすばらしい賢明な人々の多大な能力を活用させていただこうと思います。

(拍手喝采)

僕たちにはすばらしい経済計画があるんですよ。成長を倍増し、世界で最強の経済を確立するんです。同時に、僕たちと協調する気のある国とは一緒にやっていくつもりです。僕たちはね。

(拍手喝采)

僕たちはすばらしい関係を持つんです。素晴らしい、素晴らしい関係をね。大きすぎる夢なんてないさ。大きすぎる挑戦なんてないさ。

僕たちが望む未来で、手に届かないものなんてないさ。

世界一でなくても納得するようなアメリカになんてさせませんよ。

(拍手喝采)

この国の運命を取り戻さないといけないし、デカくて、自信があって、挑戦的な夢を抱かなきゃいけないよね。僕たちがやらなきゃいけないんだ。僕たちの国になることを夢見なきゃいけないし、美しいこと、成功体験をもういちど取り戻さなきゃいけないんだ。

世界のみなさんには、僕たちはアメリカの利害を最優先するけれども、みなさんともフェアにつきあうし、ほんと誰とでも・・・あらゆる国のあらゆる人々と。共通の基盤を模索するし、敵対心じゃなくて、パートナーシップ、対立じゃなくて。

さて、ここで僕をほんと、本当に、本当に歴史的な勝利ってやつをね、これまで支えてくれた人々、を紹介したいと思うんだ。

(以下略)


カテゴリ: American politics — Masa @ 10:13 PM

 

2016年8月16日

ボストン警察はメディエーション(調停・ADR)プログラムが存在するも利用せず

Boston officers say no to mediation program | Boston Globe

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日本と違って警察は市町村や郡の管轄なのが米国。ということでボストン市はボストン警察が所管となります。あと、大学の敷地内は各大学独自の警察の管轄です。

で、ボストンの警察官のちょっとしたいざこざ(言葉遣いが悪いとか乱暴とか)についての市民からのクレームは、時間と手間をかけて法的に処理をするのではなく、非公式な紛争解決手続きで迅速に処理しましょう、ということでメディエーション・プログラムが導入されたそうです。警官と市民とが調停人立会いのもと、直接話し合って解決策を見つけましょう、というプログラム。

しかし、240件のクレームがあるものの、これまでにメディエーションで処理された事例はなんとゼロ件。120件がメディエーションで処理しうると判定されたものの、警察の総務部局がメディエーションに係属した案件は15件。さらに10件は当事者の警官が拒否、残り5件は当事者の警官がまだ同意していないとのこと。

メディエーション(非公式な紛争解決)という以上、当事者間の同意が存在してはじめて成立するわけです。しかし、警察(警官)の側が同意しない以上、プロセスは成立しません。誰が何と言おうと、当事者至上主義なわけです。

任意の紛争解決プロセスを強制しようとすれば論理的に破綻しています。ということは、その「任意のプロセス」を利用したいという動機づけ、信頼感みたいなものが肝心になるわけです。

で、警官が信用しないこのボストン警察のメディエーション・プログラム。なんでかなーといろいろ考えてみたんですが、僕が思うに、このプログラムがハーバード・ロースクールの学生たちが運営するHarvard Mediation Programによって実質的に運営されているからじゃないかな、と思うわけです。いつもダンキンのドーナツとコーヒー飲んで、拳銃持ったギャング相手に命かけてる警官たちが、ハーバードのお坊っちゃまお嬢ちゃまに、モメゴトの調停を依頼するとはとても思えないわけですよ。ハーバード大の所在地であるお上品でリベラルなケンブリッジ市の警察ならまだしも、良くも悪くも人種の坩堝で事件も多いボストンですからね。

記事だけ見ると、ボストン警察の警官は偏狭だ、と感じるような気もするわけですが、任意の紛争解決プロセスは、最後まで任意である以上、誰がそのプロセスの行司をするのか、そして当事者がその行司に委ねる気になれるのか、がゼッタイ的な必要条件である以上、そもそもハーバード・ローの学生連中が仕切るプログラムを設計した時点で失敗が確定していた、という気もします。


カテゴリ: American politics,Consensus Building,Massachusetts — Masa @ 8:12 PM

 

2016年6月16日

灯台は「陸上」なのか?

Cuban Migrant Lawyers Say Keys Lighthouse Equals US Arrival – ABC News.

米国からキューバへの定期航空便が飛ぶようになったいまでも、米国へ逃げ出そうとするキューバ難民はたくさんいるのですね。確かに北朝鮮だって北京への定期航空便があるにもかかわらず簡単には逃げ出せそうにないですものね。

で、今回の一件。まず、前提として、米国の「陸上」に足を踏み入れた難民は上陸が許可され、「海上」で捕まった難民は強制送還にする、という米国連邦政府のルールがあるそうです。

今回問題の難民たちは、沖合7マイルにある米国連邦政府所有の灯台、American Shoal Lighthouseに泳ぎついて、灯台のやぐらに登っていたところを沿岸警備隊に見つかり、身柄確保されたそうです。

Americanshoal
American Shoal Light

さて、この沖合にある灯台は、難民の上陸許可を判定する上での「陸上」なのでしょうか?

連邦政府の検事は、これは構造物であって陸上ではないと主張しているそうです。弁護士は、灯台が連邦政府所有であり、陸上だとみなすべきだという主張をしているそうです。判事は、これは難しい問題だということで、判断に時間を要しているそうです。

確かに、陸続きではない構造物に登ることが陸上とみなされてしまえば、際限なく適用範囲が拡がりかねない危惧もわかります。しかし、過去の判例では、古い橋梁の遺構で、すでに陸とつながっていなかった構造物に登った難民が上陸を許可されたことがあるそうで、これを適用すれば今回も許可されるべきだろうという見方があるそうです。

法的思考のパズルとしてはなかなか興味深い事案ですね。とはいえ、キューバとの急速な関係改善を考えれば、そもそも”wet foot, dry foot”というキューバ国民のみを対象とした謎の判断基準を見直す時期が来ているのかもしれません。


カテゴリ: American politics,Marine policy — Masa @ 8:25 AM