2021年1月21日
バイデン大統領の就任演説を聴いていたら、なんかいろいろ、トランプ政権が悪かったのではなくて、「感情の赴くまま」を容認どころか大歓迎しているかのような世界こそが本当の「悪魔」なんじゃないかと思えてきました。
意見が違っても対話することの大切さも演説で強調されて、それこそがdemocracyだ、と言っていたように思います。
とはいえ、感情(情動)は、意見の違う人と話すことを忌避します。だって面倒だし疲れるから。
それを克服してきたのがこの二千年くらいの文明ってやつなんじゃないでしょうか。新約聖書だって妬みなどの感情を抱くことを戒めています。
しかしこの10年くらい、感情(情動)の重要性が、いろいろな側面で強調されてきました。というか理性と感情の不可分性も、科学的に議論されてきています。ナッジだって一種の情動を利用した社会工学なわけです。
自分はもともと、なんでもかんでも効用最大化、最適化問題を解くことこそが交渉による合意の本質であり、感情の排除こそが社会をよくすると思ってたので、無機質な交渉分析を前提に、ずっと授業や執筆をしてきました。
しかし、過去5年くらいはちょっと違うところもあるよなぁ、と、感情や共感みたいなものをかなり模索するようにしてました。
とはいえ、今日になって、やっぱし、感情に赴いては人間は終わりだ、とまた、方向転換が自分のなかで始まった気がします。
確かに人間なんて、所詮、ただの動物なので、脳のなかなんて、感情に支配されているのでしょう。しかし、そこで「立ち止まる」能力こそが人間を人間たらしめているわけです。
じゃぁなんでこの10年で人間が大幅な退化をしたのかといえば、やはり、「人々を感情になびかせることで利益を得る人々の台頭」なんじゃないかと思います。
それこそドナルド・トランプじゃないか、と思うかもしれませんが、トランプは結果であって、原因は別のところにあるのではないでしょうか。ひとつは、ソーシャルメディアというか、ネット広告というか、たぶんいちばん悪いのはYouTubeの広告料というか、熟慮のない感情的な判断を促すことを報奨するシステムがいつの間にか出来上がってしまったことでしょう。
これからの10年は、人々がいかに感情的な反応を抑えて、冷静にものごとを考えられるように、元に戻すのか。それを人類社会が2020年代にできれば、たぶんホモサピエンスはこれからも持続可能なのでしょう。逆に、2010年代のような「情動の10年」がこのままダラダラと続けば、ディストピア一直線なのかもしれません。
2017年1月20日
トランプ政権の移行チームのウェブサイトを眺めていたら、こんなセクションが。
How You Can Serve America
政権方針でも書いてあるのかと思いきや、「トランプ政権で働きませんか?」となwww。
応募のページに移動してみると、なんか、もう、よくありそうなフォームですよ。
政治任用が拡大しているとはいえ、ウェブサイトで政治任用職を求人とは、なんか、おもしろいなぁ。
ある意味「開かれた政府」なのかもしんないけど、The Apprenticeの出演者募集と同じ雰囲気のような気がしなくもないな・・・。
2016年11月9日
どういう言葉づかいをしたのかを確認したくて、トランプ氏の勝利スピーチを日本語に翻訳してみました。明日は朝が早いので、全部やってたら大変そうなので、お友達紹介までの、政策っぽい部分の終わりで止めましたがご参考まで。誤訳などもあるかもしれませんが、まぁ、イキオイで作業したnon-academicな趣味的なものということでご容赦を。
http://www.nytimes.com/2016/11/10/us/politics/trump-speech-transcript.html
ありがとう。みんな、本当にありがとう。
(拍手喝采)
みなさんお待たせしてすみません。いろいろ面倒なことがあって、面倒なんだよ。
(拍手喝采)
本当にありがとう。
(拍手喝采)
いまクリントン長官から電話をもらったところなんだ。
(拍手喝采)
彼女は僕たちを誉めてくれたんだよ。僕たちだよ。僕たちの勝利をね。僕はこれまでの、彼女と彼女のご家族の、本当に大変な選挙運動をねぎらったし、うん、本当に彼女はがんばったと思う。
(拍手喝采)
ヒラリーはほんと長い間、すごいがんばったし、僕たちの国のためにがんばってくれたことを、僕たちは感謝しないといけないんだよね。
(拍手喝采)
僕は本気でそう思ってるんだよ。
(拍手喝采)
さて、いまこそ、これまでの対立で傷ついたアメリカが一緒になる時がきたんだ。みんな一緒にならなきゃ。この国の、共和党員も民主党員も無党派層も、みんな、ひとつになる時が来たんだよ!
(拍手喝采)
いまだよ!僕たちのこの土地の、ひとりひとりの国民のみなさんに、僕はすべてのアメリカンの大統領になるし、それは僕にとって本当に大事なことなんだ。
(拍手喝采)
これまで僕を支持してくれなかった人たち・・・まぁたくさんいるんだけどさ・・・.
(笑い)
・・・僕はみなさんの支援と支援を頂戴したくて手を伸ばしているんだし、そうしてこの素晴らしい国を一体的なものとして協力したいんですよ。
(拍手喝采)
最初から言ってるように、僕たちの活動は選挙運動じゃないんだ。むしろ、数百万という働き者の、この国を愛し、そして自分と家族のためによりよい、明るい社会を築こうとしている男女からなる素晴らしい、これまでにない市民運動なんですよ。
(拍手喝采)
あらゆる民族、宗教、背景、信念を抱き、政府が本当に人々の役に立ってほしいと思っているアメリカンの運動なんです。
(拍手喝采)
協働することで、僕たちはこの国の再建、アメリカンドリームの再生という喫緊の作業に取り掛かるのです。僕自身、これまでの人生とビジネスは、世界中のプロジェクトと人々の潜在的なポテンシャルを引き出すことだったんです。これをいま僕たちの国のためにやろうとしているわけです。
(拍手喝采)
とんでもない潜在能力ですよ。僕たちの国はそれなりに知っているつもりですが、ほんととんでもない潜在能力です。こんな素晴らしい世界が待っているなんて。あらゆるアメリカンは、自分の潜在能力を最大限発揮する機会を持てるんだ。これまで見捨てられてきた僕たちの国の男女は、もはや見捨てられることなんてないさ。
(拍手喝采)
僕たちの中心市街地、僕たちの高速道路、橋、トンネル、空港、学校、病院をこれから立て直すんです。僕たちはインフラストラクチャーを再建し、これまでにないようなね、ほんと、最高のものとするんです。その再建を通じて、百万というわたしたちの人々に仕事を与えるんです。
そして、今度こそ、すばらしい退役軍人のみなさんをお世話しなければなりません。
(拍手喝采)
みなさんは本当に忠誠を誓ってくださいました。これまで18ヶ月間の旅を通じていろんなみなさんとお会いしました。みなさんと一緒の時間を過ごしたことはこの選挙運動期間のなかで僕の一番の誇りです。私たちの退役軍人のみなさんはほんとう素晴らしいみなさんです。この国を成長させ、再生するプロジェクトにこれから取り組みます。私たちの創造性を活用し、国民に資するようすばらしい賢明な人々の多大な能力を活用させていただこうと思います。
(拍手喝采)
僕たちにはすばらしい経済計画があるんですよ。成長を倍増し、世界で最強の経済を確立するんです。同時に、僕たちと協調する気のある国とは一緒にやっていくつもりです。僕たちはね。
(拍手喝采)
僕たちはすばらしい関係を持つんです。素晴らしい、素晴らしい関係をね。大きすぎる夢なんてないさ。大きすぎる挑戦なんてないさ。
僕たちが望む未来で、手に届かないものなんてないさ。
世界一でなくても納得するようなアメリカになんてさせませんよ。
(拍手喝采)
この国の運命を取り戻さないといけないし、デカくて、自信があって、挑戦的な夢を抱かなきゃいけないよね。僕たちがやらなきゃいけないんだ。僕たちの国になることを夢見なきゃいけないし、美しいこと、成功体験をもういちど取り戻さなきゃいけないんだ。
世界のみなさんには、僕たちはアメリカの利害を最優先するけれども、みなさんともフェアにつきあうし、ほんと誰とでも・・・あらゆる国のあらゆる人々と。共通の基盤を模索するし、敵対心じゃなくて、パートナーシップ、対立じゃなくて。
さて、ここで僕をほんと、本当に、本当に歴史的な勝利ってやつをね、これまで支えてくれた人々、を紹介したいと思うんだ。
(以下略)