2013年7月10日
スマートメーターのテクノロジーアセスメントが必要かも
今日はリヨン大学の若手研究者と話していたのですが、当初想定よりおもしろい方向に議論が進んだのでメモっておきます。
グリーンイノベーションということで、エコシティにおける、スマートメーターによる市民参加というアイディアを持ち込んできました。
曰く、スマートメーターで、自分の好きなエネルギー源を選べるようになれば、コストだけに依存しない消費者の選好をダイレクトに市場に反映させることができるのだから、市民のエンパワメントになるし、エネルギー政策に対する市民参加になるという仮説があるということ。
私としては、市場に委ねると、各アクターの影響力がその資本力等に応じて差が生じる(大量に電力を消費する者の意向が強くなる)のだから、現状よりもdemocraticではない方向に進むのではないか、むしろひとり一票を持つ国民の意思に基づいて政府が規制をするほうが(いろいろ問題があるとはいえ)democraticではないかと反論しておきました。
また、各家庭のエネルギー使用量を詳細にモニタリングするシステム(HEMS)について、欧州では「政府による監視」を怖れて導入を嫌う人が多いそうです。生活パターンを監視されるので、健康食品や保険商品のセールスに使われる危険があるわけです。しかし、日本の現場でそういう反発は少ないそうです。日本の「環境」というdiscourseのなかでは、「民主的」、「自由」といったthesisの立場が弱いのでしょうね。で、そういう意味で、日本におけるHEMSは、一種のパノプティコンじゃね?って議論を、今日の訪問者としていました。
本当はHEMSについてテクノロジーアセスメントが必要で、市民社会組織が警鐘をならす必要があるのでしょう。
しかし、そんなこと言ったら、「サステナブル社会のために必要なイノベーションを妨害しようとするのかコノ くぁwせdrftgyふじこ… 」とブチ切れるオッサンの姿が瞼に浮かびます。