ホーム » ブログ

アーカイブ

検索


フィード


管理

2020年2月21日

インスタによる旅行の記憶の外部化とそのリスク

先月、ロッテルダムからDerk Loorbach先生にいらしていただき、金沢市でレクチャーしていただいたのですが、そのときのこと。金沢駅前の鼓門のところで、観光客がみんな写真を撮っているわけです。スマホが普及したこと、インスタグラムが大流行なことで、「観光」の目的が、スマホで写真を撮ってインスタにあげること、になってきたんじゃないかと思えてきました。

IMG_20200116_1239588

そんなことをDerkと雑談していたら、彼の友人のラジオパーソナリティが、番組でおもしろい問題提起をしていたと教えてくれました。みんなが旅行中、なんでもスマホで写真を撮るようになると、その映像を自分の脳で記憶する必要がなくなり、スマホのメモリに記憶してもらえばよくなるわけです。結果として、自分が旅行でどこに行ってどんな経験をしたのかという情報も、自分の脳内には記憶として残らなくなってしまい、スマホで検索しなければならなくなる。そしてもし、スマホが壊れちゃえば、どこに旅行したかも覚えてない事態に至る・・・なんて話をラジオでしていたそうです。

これは「記憶の外部化」と言われる問題で、何もインスタに限った問題じゃないかもしれません。昔の日本人だって旅行するときにはカメラを首からぶらさげて、写真を撮るのに夢中になる、というのがカリカチュアとして存在してたわけで、現像した写真がなくなっちゃうと、どこに行ったのか忘れちゃってたかもしれませんね。いまでも、昔の写真を見つけると、「ああ、そういえばこんなところに行ってたなぁ」なんて思うこともありますよね。

とはいえ、スマホが広まったことで、旅の記憶の外部化がさらに進んだことは間違いないのではないかと思います。そして、たとえばインスタのアカウントが消えてしまうと、自分の旅の記憶も消えてしまう、という時代が来ているのかもしれません。

そう考えると、インスタ(や他のSNS)に敢えて投稿しない旅、というのもこれから逆にトレンドになるかもしれませんね。

自宅が泥棒に入られるリスクも減りますしね。


カテゴリ: Science/Technology Policy,Travel — Masa @ 4:29 PM

 

2018年8月31日

電子メールが2週間も送信できてなかった!

お盆明けくらいから、なんとなくモチベーションが下がりまくっていて、夏休みでダラダラしすぎてるのかもなぁ、と悶々としておりました。「俺って世の中に必要とされてるのか?」なんて自問自答したりして。

そんな日々が続いていたのですが、今週前半、ふと「受信トレイ」を見てみると、謎のメッセージが溜まっているではないですか。

名称未設定 1

自分はIMAPを使っているので、通常の受信メールはサーバ側の「受信トレイ」に保存されて、普段はそちらしかチェックしてないのですが、outlookのクライアントには別途「個人用フォルダ」の「受信トレイ」が強制的にセットアップされているんですね。そっちのほうにこのメッセージが溜まっていたので、2週間ばかり気づかず放置してました。

で中身を見てみると・・・

名称未設定 1

メールが配信できていないだと!?

一瞬、相手のメールボックスの問題かなぁ、なんて思いましたが、こんだけエラーメッセージが溜まってるってことは、自分側の問題でしょう。ということで、エラーメッセージの

5.1.8 Access denied, bad outbound sender. について調べてみると・・・

名称未設定 1

マルウェアによってハッキングだと!?!?!?

超焦って、自分のPCを再度ウイルスチェッカーで確認してみたり、送信済みメッセージ等に何か痕跡がないか探してみたり・・・したものの、乗っ取られた痕跡はとりあえず確認できませんでした。とはいえ、通信ログ確認したわけではないので、ちょっと不安。最近、明治大ではこんなインシデントがあったばかりですし・・・コノ俺がやっちまったか?と焦ります。

とりあえず仕事にならないので、別の個人管理のサーバから急いでメールを再送しました。

このエラーメッセージですが、送信メールすべてについて来ていたわけではないので、一部のメールは送られていたのかな?と思いましたが、どうやら、8月16日以降、全てのメールが送信されていなかったようです。完全にSMTPが阻止されてた状態ですね(泣。受信側のIMAPも停止されていればメールが1通も届かなくなって、さすがにもっと早く気づいたでしょうが、送信側だけ停止されていて、エラーメッセージも普段見ないメールボックスに入っていたので、2週間も気づきませんでした。あと、学期の期間中でなければ、対面でいろんな人に会うので、「メール届いてない!?」という話題になるでしょうが、夏休みで人と会うことが少なかったので、気づくのが遅れたかもしれません。

ということで、駿河台のサポートデスクに電話、状況をお伝えして調査してもらうと、特に不正アクセスはなく(怪しいのは九州のプロバイダからアクセスがあったという点らしいですが、それって自分の九州帰省(笑))、すぐに復活してもらえました。迅速対応感謝!

で、原因ですが・・・実は自分のミスでした。前職の東大のメールアドレスがまだ生きているので、東大に届いたメールをすべて明治に転送していました。で、その中に大量のSPAMが含まれていました。それだけならともかく、明治に届いたメールは全てgmailに転送していたので、SPAMを東大→明治→gmailの間でリレー中継させてしまい、明治のサーバー(正確にはMSの企業向けoutlook)が「こいつSPAM送ってるやん!」と自動判断してアカウント止めちゃったみたいです。当初は東大から明治の転送の際に、SPAMを除外する設定にしてたんですが、いつの間にかその設定が機能しなくなっていたようです。また、お盆にSPAMが急増したのかもしれません。まぁいずれにせよ、転送設定をミスった私が悪い。

ということでメール送信のシステムが今週復活。復活後、たくさんのお返事(仕事の用件ばっかしですが)を頂戴しました!というか、システムが止まっている間、メーリスのメッセージなどは届くのですが、自分が送ったメールへの返信が全くなかったんですよね。というかそもそもメール送信できてなかったんだから返事が来るわけもないですが(笑)。

で、思ったのですが、メールを送っても返事が来ない、って、けっこう、メンタルへのダメージが大きいのかもしれませんね。話しかけてもみんなから無視をされるのと同じでしょうか。自分はこれまでほとんど意識してませんでしたが、今回、偶然そういう状況に置かれて、返事がもらえないとジワジワと無能感に苛まれることに気がつきました。電子メールはとりあえずヒトコト返事しておくって、良好な人間関係を維持するうえで、大切なことかもしれませんね。まぁだからこそ、敢えて返事をしない、っていう選択肢もあるわけですが。


カテゴリ: Computers,Media,Meiji University,Science/Technology Policy — Masa @ 9:14 AM

 

2017年11月27日

bogus conferenceの国内開催は観光政策&科技政策としてどうなんだろ

大学で研究者をしていると、超ウサン臭い「学会」への招待メールが頻繁に来ます。

国際学会へ招待なんてすばらしいじゃないすか、と思う人もいるかもしれませんが、現実には「招待」なんかじゃありません。参加費が数万円でボッタクリも多いですし、学会と言っても研究分野は何でもアリで、他の参加者の発表聴いても多分、何のこっちゃか全くわからんやろね、みたいな感じ。海外ではこのような「学会」はbogus conference(インチキ学会)などと揶揄されます。まぁそこまで特定の「学会」を攻撃したら訴訟リスクもあるので、questionable、dubiousみたいな表現を使うことも多いみたいですが。なんでもいいから学会発表して、業績リストを伸ばしたいというニッチ需要もあるのかもしれませんが。

以前はベネズエラやギリシャからのメールが常連で、いまでもたまに来ますが、最近は中国から来るようになりました。この中国からのメール、以前は会場が大連や上海だったのですが、最近は福岡や京都が会場のも増えてるんですよ。

ウサン臭いとはいえ、開催しなかったら完全なる詐欺になるので、たぶん、いちお、会場はおさえているのだとは思いますが・・・福岡や京都のホテルがこういうウサン臭い「学会」に使われるのって、信用として、どうなんでしょうね。まぁ、こういう「学会」に参加するヒトって、大半が「学会」ではなく観光目的(研究費で観光しちゃおうという不届き者)でしょうから、まぁ国の観光政策としてはいいね、なのかもしれません。とはいえ、こういう「学会」の会場として日本が使われちゃうと、日本国内のまっとうな学会でさえ、海外の人たちが「インチキじゃね?」と疑うようになるかもしれませんよね。そういう意味で、科学技術政策としてはヤバいのではないかと。

まぁさすがに主催は日本の業者ではないので、まだまだ安心ではありますが、こうも経済が混沌としてくると、日本でこういう「学会」を商売にする連中が出てくるんじゃないかと、ちょっと心配ではあります。

怖いのが、地域のコンベンションビューローみたいなところが、こういう「学会」に協賛しないかどうか・・・。いま見ている限り大丈夫そうですが、そろそろ協賛しちゃうところが出てくるんじゃないかなと。観光政策としては、悪い話じゃないですし、「学会」のクオリティなんて、観光客を増やすことが目的の人たちには、あまり関心のないことですものね。まぁ、観光政策と科学技術政策の接点ということで、誰か既に動いているのかもしれませんが。


カテゴリ: Public policy,Science/Technology Policy,Travel — Masa @ 10:43 AM