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2009年10月21日

ワシントン駐在の記者はどうかしている

この記事はひどい。

「オバマ氏平和賞」米で不支持56%

この原文を探してみたら、これみたい。

CNN Poll: Half the country disagrees with Obama on issues

CNNの世論調査ですので、もちろん、バイアスを疑った上で受け止めるべきでしょうが、読売新聞の記事では、さらに重要な情報がなぜか抜け落ちてています。

But seven in 10 are proud that a U.S. president won the prestigious award.

「国民の10人に7人は、米国大統領が名誉ある表彰を受けたことについて誇りに思っています。」とのこと。確かに、「ノーベル賞ほどの成果を残しているの?」という疑問はけっこうな数の人が抱いているのでしょうが、授賞自体は、米国民の7割がポジティブに受けとめていることもまた事実。あの国で7割の人が何かに同意するなど非常に珍しいことであるわけです。

CNNでさえ、控えめにしつつも、事実ではあるのできちんとこの一文載せているわけです。この点を敢えて削除して報道する日本の記者は、ほんと、どうしようもないとしか言いようがありません。Washington Timesを平気で引用したり、ヘリテージの連中のコメントを米国の代表意見として載せたりする記者連中は、本当に困ったものです。ネオコン層からどういう手段で洗脳を受けているのか、気になるところです。


カテゴリ: American politics — Masa @ 8:17 PM

 

2009年9月1日

鳩山論文

こんなのが載っていたのですね。

NY Times: A New Path for Japan By YUKIO HATOYAMA

ネオコンどもが騒いでおるので一体どんな中身なのかと思いきや・・・確かに前半の文章はよろしくないですな・・・。何というか、語気が強いです。最初の数段落だけ見ると、チャベスみたいなデマゴーグじゃねぇか、と確かに思えます。私でさえそう感じるのですから、アメリカ合衆国連邦政府大好き~~な人たちにとっては、憤懣やるかたないところでしょう。

もともと日本語の記事を訳したそうですが、翻訳が悪いんじゃないかと思います。もしかすると日本語の記事も同じような感じなのかもしれませんが(とすると、ちょっとこの先怖い)。

彼の言いたいことを好意的に見れば、自由主義の行き過ぎによって、社会保障などが手薄になっていることや、海外資本の影響力が強くなりすぎていることへの懸念ではないのかと思います。もう少し米国に気配りした文言を足しておいたほうがよいとは思いますが、全体としてはそんなに現在の米政権が反発するような内容ではなさそうです。やっぱしレトリックがよくなかったんでしょうな。

こんな記事もありますが、ヘリテージの連中が「米国の利益」など語れる立場なんでしょうか。アジアの経済政策の独立性が高まることは、確かに、米国の一部の富裕層の利益とは相容れない立場でしょうな(笑)。


カテゴリ: American politics — Masa @ 2:13 PM

 

2009年8月5日

米国人記者北朝鮮から解放

Clinton and Two Freed Journalists Leave N. Korea

ほほぉ。こういう結末でしたか。

米国内務省は何かするだろうとは思っておりましたが、クリントンが行って連れて帰ってくるとは、表面上はいちばん平和なシナリオに落ち着いたのでしょう。まずは何より。

2者間交渉としてみると、米側にいくつか上手な戦略が見受けられます。当初の不法な拘束という大義名分を取り下げ、金総書記による恩赦を求めたことは、立場ではなく相互の利害関心に焦点を当てる交渉の最たるものでしょう。また、クリントンがか弱い女の子たちを迎えに行く、という構図もなんともアジア的であります。金日成を「父」として神格化する北朝鮮の思想との親和性を感じます。純粋な交渉戦略としても、cross-cultural交渉としても、今回は非常によかったのではないでしょうか。

もちろん、裏ではいろいろ取引や脅しがあったのでしょう。

ただ、これは単純な2者間交渉ではなくて、中国が一枚噛んでいるような気がします。米中戦略・経済対話も伏線にあったのでしょう。そういう視点で見ると、米・朝、中・朝、米・中という3つの交渉のdyad(つながり)を同時に考える必要が出てきますので、整理は非常に複雑です。またdyadが増えれば「裏取引」の機会も増えますので、交渉の本質をとらえることはきわめて困難です。3者間交渉として考える必要がないわけではありませんが、複雑であるがゆえに、表面的な情報をもとに空虚な単純化した議論が横行してしまう危険があります。

何はともあれ、日本が巻き込まれなかったのはよかったことです。ここで話に割り込んでも、余計な負担を強いられるだけでヤブヘビだったでしょうから、黙っていたのは正解だったのではないでしょうか。


カテゴリ: American politics — Masa @ 9:53 AM