ホーム » ブログ

アーカイブ

検索


フィード


管理

2013年10月24日

TrustとConfidence

最近、「科学への信頼」というフレーズを繰り返し耳にする機会がありました。しかし、聴いているうちに「そうはいうけど、信頼ってなんだろう?」と疑問が沸いてきました。まぁこれはありがちな疑問で、信頼だの信用だの安心だの安全だの、terminologyの議論はあちこちで行われています。

むしろ自分自身が気になったのは、信頼という言葉を何と英語に訳すかです。たぶん、ほっといたら、trustと訳す人が大半でしょう。しかしtrustという言葉には、ここでいう「信頼」とはちょっと違うニュアンスがあるような気がします。たとえば、金融の文脈では"trust"は「信託」と訳されるはずです。信じて託しちゃうということですね。ですので、科学への信頼をtrust in science(正しくはscientistsやscientific communityでしょうが)みたいに訳すと、科学者たちに自分の判断を託してしまうという意味に聞こえます。

むしろここは、confidenceと訳すべきではないと思います。直訳すると「自信」なのでしょうが、主体的に何かを信じて支持するときもconfidenceといいます。たとえばオバマ大統領への支持もconfidence in Obamaといいます。ですからconfidence in scienceといえば、自分が判断を下す上で科学(的情報)を使いたいと思う、という意味合いが出てくると思います。

trustだと全権委任のcarte blancheを渡すイメージがあるので、そういう委任状が欲しい一部の科学利権を追求する人でもない限りは、やはりconfidenceという言葉を意識的に使っていったほうがよいのではないでしょうか。


カテゴリ: Public policy,Science/Technology Policy — admin @ 9:54 AM